静岡県が浜松市に計画する野球場の事業費で最大450億円という試算が出たと明らかになったことについて、鈴木康友知事は「事業費だけが独り歩きすると判断を誤る」と述べました。一方、NPO団体などは自然環境に配慮した建設を求め県に要望書を提出しました。

<鈴木康友静岡県知事>
「あまり数字が独り歩きしないように発表する必要はあったなと思います」

鈴木知事が「発表する必要はあった」と語ったのは、静岡県が浜松市の篠原地区に計画する新しい野球場の事業費についてです。この野球場をめぐっては、ドーム型など3つの案が検討されていて2022年度の時点で、最大370億円の概算事業費が示されていました。

しかし、県議会の建設委員会で県は、2024年度の時点で最大450億円という試算が出ていたことを明らかにしました。

<鈴木康友知事>
「金額ありきではなくて、これだけの事業をやるのでこれだけのコストがかかりますよということでございますので、当然、事業とコストは表裏一体でありますので、途中における単体の事業費だけが独り歩きするというのは判断を誤るのではないか」

鈴木知事は、公表はすべきだったとしながらも「事業費だけが独り歩きすると判断を誤る」と懸念を示しました。そのうえで、「ドーム型球場だけでは採算が取れるとは思っていない」として「付帯施設も含めて議論をしていく」と述べました。

浜松市で絶滅危惧種のアカウミガメの保護に取り組むNPO団体などは、野球場を建設した場合でも現状の自然環境が維持できるよう県の担当者に要望書を提出しました。

<サンクチュアリジャパン 馬塚丈司代表>
「将来に渡って、子どもたちがいい静岡県、浜松市に生まれたねという施設をつくっていただきたい、夜間開演しない公園を望む」

要望書では、ナイター照明がアカウミガメの産卵を阻害することから照明のない小規模な球場の建設を求めています。

<サンクチュアリジャパン 馬塚代表>
「アカウミガメの産卵場所を遠州灘で発見して以来、今年で39年になるんです。しかし、未だにこうした心配事が後を絶たないということは私たちは先行き不安でなりません」

団体は、県議会の落合議長のもとも訪れ、理解を求めました。