岩手県大船渡市の山林火災は発生から12日目となった9日、延焼のおそれがなくなったとして鎮圧が宣言されました。発生から鎮圧までの動きを振り返ります。

(金野記者リポート)
「大船渡市赤崎町外口から見る火災現場に真っ黒な煙が上がっています」
(住民は)
「今まで見たことがない。きのうの(山林火災)よりすごい」
「この風が悪いんじゃないの?一気に燃えた感じ」
2月26日、午後1時ごろ大船渡市赤崎町合足で発生した山林火災は、乾燥した空気と強風の影響で短時間で燃え広がりました。

住宅への延焼のおそれがあるとして、市は三陸町綾里地区全域と赤崎町、三陸町越喜来の一部地域の合わせて最大で1896世帯4596人を対象に避難指示を出しました。
(避難者は)
「早く早く鎮火してほしい。今はもうそれだけです」
今回の火災で、2月27日、三陸町綾里小路でこの火災に巻き込まれたとみられる90歳の男性1人の遺体が発見されました。
焼失面積はおよそ2900ヘクタールに上り、平成以降に国内で発生した林野火災では最大規模となりました。

3月5日には大船渡市に待望のまとまった雨が…これにより火の勢いが弱まったことを受け、一部避難指示の解除の検討が始まりました。
自衛隊や全国からの緊急消防援助隊による懸命な消火活動のすえ、7日ついに…
(井丸キャスターリポート)
「先ほど避難指示が解除された赤崎町の一部地域に向けて、ぞくぞくと車が向かっています」

延焼のおそれがなくなったとして、市は7日午前10時、一部地域の避難指示を解除しました。
(防災無線の音)
「避難指示が解除されました」
自宅に戻った住民からは安堵の声が聞かれました。

(住民は)
「燃えないだけで家の中にも煙が入らないだけで、きょうからゆっくり寝ることができます」
自宅近くにまで火の手が迫ったことを感じている人もいました。
(住民は)
「帰ってくるまで自分の目で見るまで、ここまで火が迫っていたのは想像できていなかったので」

地域の基幹産業である水産業も避難指示区域となったため、一時休業を余儀なくされました。
(水産業関係者は)
「もう氷も溶けちゃってこんな。たぶん食べれなくはないんでしょうけど商品にはなりません」

(鎌田水産営業部 山口優希課長)
「三陸町の方が甚大な被害を被っているということは、漁師さんたちが生活を維持する上でわたしたちが支えになって仕事を一生懸命頑張ることが責務だと思っています」
発生から12日目で鎮圧となった

今回の大規模山林火災。
これからは鎮火に向けた消火活動が続くとともに、住民の暮らしや地域経済の立て直しに向けた動きが始まります。