青山環(あおやま・たまき)ちゃんは2歳で、重い心臓の病気を患っていましたが、環ちゃんのお父さんの地元・青森市などで募金活動を行って資金を集め、6年前の2016年9月にアメリカで心臓の移植手術を受けました。
日本国内で子どもへの移植は当時わずか4例しかなく、移植医療が普及しているアメリカに助けを求めました。臓器移植法が施行されて今月で25年、臓器移植への理解を呼びかける動きを取材しました。
10月11日夕方、臓器移植コーディネータや青森県の担当者が参加して行われた点灯式。青森市の県観光物産館・アスパムが移植医療の普及を呼びかけるシンボルカラーの緑色にライトアップされました。アスパムは、臓器移植の普及活動のために全国各地でランドマークをライトアップする「グリーンライトアップ・プロジェクト」に青森県内で唯一参加しています。1階のエントランスホールには、患者が移植を受けるまでの流れや術後の生活などをまとめたパネルが展示され、臓器移植への理解が呼びかけられています。
※青森県臓器移植コーディネーター 岩崎雅子さん
「臓器提供するドナーになるか移植を受けるレシピエントになるかはいつ誰がとうなるかわからないところがあります。普段から大事な人と臓器提供について話をしておく事が非常に大切だと思っている」

1997年の10月16日に臓器移植法が施行されて今年で25年を迎え、国内で臓器を提供した人は2420人、移植を受けた人は6639人となりました。
最近では年間300人以上が臓器移植を受け、2014年以降は増加傾向にありましたが、新型コロナが流行して以降は横ばいとなっています。

そして、現在も1万5573人が臓器移植を希望しています。このうち、移植がかなうのは毎年全体の2%程度で、移植医療は普及しているとは言えない状況です。

「2歳の娘の心臓移植のための募金活動です。よろしくお願いします」

青森市出身の青山竜馬(あおやま・りょうま)さんは2016年、当時2歳の次女・環ちゃんの心臓移植を目指して「救う会」を立ち上げ、募金活動を始めました。

環ちゃんは2013年11月、札幌市の病院で双子の姉・菫(すみれ)ちゃんとともに生まれましたが、生後7か月の頃、菫ちゃんが『急性心不全』で亡くなりました。

これがきっかけで、環ちゃんが『拡張型心筋症(かくちょうがたしんきんしょう)』という心臓の病気であること、そして、心臓移植以外には助かる道がないことが明らかになりました。

アメリカで移植を受けるために必要な金額は、3億2000万円と莫大な金額でしたが、それでも渡米に踏み切る理由がありました。

当時、日本で10歳未満の子どもが心臓移植を受けたのはわずか4例。臓器を取り出すために体に傷を付けることへの抵抗感や体制が整っている病院が少ないなど、さまざまな理由から日本では移植医療が進んでいません。その現状について青山さんは、環ちゃんが心臓移植を受けた6年前と変わっていないと話します。

※トリオ・ジャパン 青山竜馬 会長
「ドナー提供者数が当時(2016年)よりは増えてきているのでそれは歓迎すべきことというか、尊い意思がつないでいただいていることには感謝しなければと思いつつも、まだまだ状況としては厳しいことには変わりないと思います」

2016年9月11日、アメリカで心臓の移植手術を受けた環ちゃん。6年が経過していまは小学3年生になり、かかりつけの病院がある大阪の小学校で特別支援学級に元気に通っています。
※トリオ・ジャパン 青山竜馬会長
「心臓の近くに耳をあてるときには力強い鼓動が聞こえてきますし、この子のおかげで彼女が生かされているんだなと感謝の気持ちは忘れられないです。
提供したくないとか、受けたくないという選択もすごく尊い選択で、そういった答えをどうどうと言えるような社会であってほしい」


青森県内での臓器提供はこれまでに脳死で9例、心停止後で6例ありました。アスパムは、臓器提供に関する意思を確認する記念日「グリーンリボンデー」の10月16日までライトアップされます。
