国霊感商法対策弁護士連絡会に対する新田知事の回答(原文ママ)
ご回答
令和4年10月11日
新 田 八 朗
冠省 全国霊感商法対策弁護士連絡会の先生方からのお手紙、ありがとうございました。
ご連絡を頂戴してから、お時間を頂戴したことにつきまして、心よりお詫び申し上げます。本年9月6日付け「申入書」につきましては、添付していただいた資料を含め、しっかりと拝読いたしました。そのうえで、下記のとおり、ご回答を申し上げます。
草々
記
1 まず、先生方から頂戴した資料に基づき、世界平和統一家庭連合(以下「家庭連合」といいます。前身にあたる旧世界基督教統一神霊協会(以下「統一教会」といいます。)と合わせて、以下「旧統一教会」といいます。)による献金勧誘や物品販売行為について、裁判所が違法であると判断した事例の多くを読ませていただきました。旧統一教会が違法行為を行っていたこと、2009(平成21)年に「コンプライアンス宣言」の後も違法な勧誘行為を継続していたこと(資料2。30番の裁判例)を確認することができました。
2019年末は、私は、2020年の富山県知事選挙に立候補することを決意し、人生で初めての政治活動を経験いたしました。それまで、私は、約40年間、経済界において、企業経営と経済団体の活動を中心としておりましたので、宗教団体とは全く接点がなく、霊感商法には明るくありませんでしたので、おまとめいただいた裁判例の概要を読むことで、旧統一教会の具体的な勧誘方法を理解することができました。
不勉強な私に対して、専門家の先生方より、このような貴重な情報を提供していたことにつきまして、厚く御礼申し上げます。
2 私は、本年7月20日(水)の定例会見において、2020年の富山県知事選挙において応援を受けていた事実を認めた際、記者の方のご質問に回答する形で、演説の機会をいただいたことは「当時の私にとってはありがたいことではありました」と回答をしたことは事実であります。
2020年の富山県知事選挙では、自民党からの推薦もいただけず、組織票もない状況の中、旧知の政治家や知人、家族による手作りの選挙事務所で、人生を賭けて戦っておりました。そういった厳しい状況であったことから、お申し出のあったご支援につきましては、いかなる団体かどうかを問うことなく、幅広くご支援をお受けしておりました。
政治活動をし、県内15市町村に足を運び、私のビジョンや政策をお伝えしたところ、次第に、さまざまな方々や組織からも、ご支援の表明をいただき、実際に、多くの方々にお手伝いをしていただきました。旧統一教会からのお申し出も、そういった数多くのご支援のうちの一部でありました。
私の「ありがたいことではあった」との発言には、こういった手作りの選挙の中で貴重な演説の機会をいただいたという背景があったのですが、一部の報道機関により、「ありがたかった」という部分のみが報道されてしまい、私が、あたかも旧統一教会に対してだけ感謝の意を表明したかのように受け止められてしまいました。
もっとも、裁判所により認定された違法な勧誘行為の事実からすれば、こうした報道による一般の方々の誤った受け止めを踏まえると、先生方によるご懸念のおそれがあるということも、よく理解できるところであります。
ですから、私は、「ありがたかった」との報道が旧統一教会に対する積極的なメッセージであると受け止められないように、本年8月9日(火)の定例記者会見において、旧統一教会から支援を受けたことについては、「適切ではなかったと反省をしている」と明言をいたしました。
仮に、私の発言が違法行為に利用されることがあるとすれば、大変遺憾であります。私の先の「ありがたかった」との発言は、決して旧統一教会の主張や活動を受容するものでもなく、ましてや違法行為を拡大することを意図したものではございません。
3 旧統一教会との接点を持った具体的な経緯につきましては、既に本年8月9日(水)の定例記者会見にてご説明をさせていただきました。
2020年3月から4月頃、平和連合富山県本部の鴨野守事務局長より、当時の講演会である「新田はちろうを囲む会」(現:新田はちろう後援会)の事務局に連絡があり、私の演説映像をお貸ししたのが、最初の接点でありました。お申し出のあったご支援につきましては、いかなる団体かどうかを問うことなく、幅広くご支援をお受けしておりましたので、そのような流れの中で、演説映像をお貸ししたというのが実際の流れでございます。
その後、同年6月に自民党県連が当時の知事であった石井隆一氏に推薦を出すことが決まった頃、鴨野氏より、私を応援したいとの申し出がありました。この頃に、平和連合や平和大使協議会より、当該団体のお考えや活動方針につき簡単に説明を受けましたが、家庭連合が旧統一教会と同一団体であることや、違法行為をしていた事実につきましては、このときは説明を受けておりませんでした。
その後、同年8月1日(土)に徳野英治会長と、8月12日(水)には名古屋支部長の方と、後援会事務所でお会いして、私から、立候補をした決意表明や政策、選挙の情勢等についてお話をさせていただきました。
4 具体的な支援内容につきましては、次の3点です。
第1は、後援会入会申込者のご紹介です。当時、後援会の入会者を集めるために、多くの企業や個人の方々に、入会者のご紹介をお願いしておりました。最終的には15万1750名もの多くの方々から入会申し込みをいただきましたが、そのうち紹介者欄に旧統一教会の記載があった方々は798名にすぎません。それ以外に、個人名でのご紹介もいただいておりましたので、全体として旧統一教会の関係者の数が特筆して多いというわけはございません。
第2は、いわゆる電話作戦です。2020年10月8日(木)から24日(土)の選挙期間中に、選挙事務所内に設置された電話から、後援会入会者に対して電話をかけておりました。この電話作戦につきましても、旧統一教会の方にご協力いただきましたが、あくまで数多くいらっしゃったボランティアの方々の一部でありました。現在、記録が存在しないため、具体的な人数を把握することは困難ですが、全体としての数が特筆多いというわけではございません。
第3は、演説の機会をいただいたことです。当時の記録を調査したところ、その回数は、2020年の7月5日(日)、8月23日(日)、同年9月13日(日)及び21日(月・祝)の4回でした。20~50名程度の方々の前で、私の描く富山県のビジョンや政策についてお話をさせていただきました。演説の機会は数えきれないほどありましたので、これらの4回は、そのうちのごく一部にすぎず、強力な支援をいただいたというわけではありません。
5 旧統一教会との今後の関わり合いにつきましては、本年8月9日(水)の定例記者会見において、コンプライアンス上の問題がある団体とは関係を持たない旨を宣言していたにもかかわらず、一部の報道機関が、私が旧統一教会と関係を絶ち切らないのではないかとの印象を与えるような報道をされてしまい、大変遺憾であります。
そのため、同年9月12日(月)には、富山県議会の代表質問にお答えする形で、政治家として、コンプライアンス上の問題がある団体とその関係団体とは関係を持たないこと、旧統一教会にはコンプライアンス上の問題があることを、改めて宣言をさせていただきました。
一方、憲法20条1項後段及び23条、89条は、政教分離原則を保障しており、かつての最高裁判例によれば、目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為が禁止されているところではあります。地方公共団体の首長である県知事が、県庁施設内において開催される定例記者会見の場において、特定の宗教団体につき、世俗的な行為の外形的側面が消失した場合も含め、未来永劫お付き合いをしないと宣言することは、政教分離原則の観点から問題があるところではありますが、政治家の立場として、宗教団体の世俗的な行為の外形的側面を理由に関係を持たない旨を宣言することは、政教分離原則に反するものではないとの判断に基づくものであります。
6 先生方がご指摘なさるように、私のこれまでの発言が旧統一教会の主張や活動に利用されるおそれがあることや、一部の報道機関による誤った印象を与える報道があることから、私の旧統一教会に対するスタンスを明確にするべく、富山県では、本年9月14日(水)より、旧統一教会問題に関する総合電話相談を実施することとし、同年10月31日まで期間も延長いたしました。
当選前後を含め、旧統一教会やその関係団体の研修を受けたり、政策協議をしたり、陳情を受けたりした事実はございませんが、今後は、県民の方々にお約束した公約を実現するため、特定の団体の意向を考慮することなく、公正かつ公平な県政を実現してまいりたいと考えております。実際に、旧統一教会は同性婚に反対をしていると承知しておりますが、私は、いわゆる「同性パートナーシップ制度」の導入を推進しております。
また、現在の「新田はちろうを囲む会」は、旧統一教会にご協力いただいた「新田はちろうを囲む会」の名簿を引き継いでおらず、令和3年4月以降に新たに入会申込書をいただいた方のみですから、現在の後援会の入会者には、旧統一教会からご紹介を受けた人はおりません。
以上の次第でありますから、私といたしましては、私が行える最大限の範囲で、信頼回復に努めてまいりたいと考えております。
以上
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