子どもたちにハンセン病についての正しい知識をつけてもらおうという取り組みです。岡山県瀬戸内市が、ハンセン病療養所の歴史を伝える啓発動画を作成し、市内の小学校で上映会を開きました。

(啓発動画の音声)
「ここは長島愛生園の収容所です。療養所に連れてこられた患者は、収容桟橋から、この収容所に入りました」
瀬戸内市立牛窓北小学校で開かれた上映会には、6年生12人が参加しました。鑑賞したのは、2つの国立ハンセン病療養所=長島愛生園と邑久光明園の歴史を伝える動画。市内の小中学校で行われているハンセン病問題を考える人権学習の教材として活用してもらおうと、瀬戸内市が制作したものです。
(啓発動画の音声)
「“人間回復の橋”と呼ばれる邑久長島大橋です。この橋の存在こそが、ハンセン病が強制隔離を必要としない証であり、入所者が隔離から解放された象徴なのです」

児童たちは、当時の患者の生活や現在の長島の姿を通して、国の誤った強制隔離政策の実態や、患者や家族が受けた苦痛、その生涯について考えを巡らせていました。
(鑑賞した児童)
「今だったら絶対に考えられないということが行われていた。そんな中でも患者が絵を描いたり、楽しみを見出したり生きる希望を見つけていたんだなと思った」
(鑑賞した児童)
「(ハンセン病について)今も勘違いしている人がいるから、それをちゃんと教えていきたい」
(瀬戸内市ダイバーシティ推進室 田中綾乃さん)
「誰かが語り継がないと、あっという間に消え去ってしまう問題なので、途切れさせないために、同じことを繰り返さないために、当時を知らなかった子どもたちにも知ってもらえたら」
啓発動画は瀬戸内市のホームページで公開されていて、今後も市内の小中学校で教材として活用する予定だということです。