ガイドブックが「児童書」なぜ?

ガイドブックが児童書に参入する背景には何があるのでしょうか?

『JTBパブリッシング』長岡編集長:
「やはり世の中、雑誌や書籍が楽観的にいられる時代ではない。『るるぶ』だけではなくて、さらにもっと広くジャンルを広げている」

かつては、旅行には欠かせなかったガイドブックですが、スマホでどんな情報でも簡単に得られるようになり厳しい時代に…。生き残りをかけ「児童書」の出版に踏み切ったといいます。

では、なぜ児童書だったのか?
その背景にあるのが、「子どもの読書事情」の変化です。

全国学校図書館協議会の調査によると、「1か月に読んだ本の平均冊数」(2024年)は、高校生⇒1.7冊、中学生⇒4.1冊なのに対し、【小学生(4〜6年生)】は13.8冊
ここ20年で小学生だけは右肩上がりで、2004年(7.7冊)の約1.8倍になっているのです。

それを支えているのが、学校での読書。
東京・江戸川区立松本小学校では給食の後に「15分間の昼読書」の時間があり、子どもたちが読む本も、小説や英語の学習本、人体標本が載っている本まで実に様々です。

小6男子:
「2月は25冊くらい。歴史の本が家にあるので、それを繰り返し読んでいる」

小6女子:
「本を読んでいると頭の中で想像して映画を観ているみたいで面白い

しかも、おもちゃなどに比べて「まあ本ならいいかと、ねだられたら買ってしまう」(50代母親)というような“メリット”も、児童書参入への後押しになっているようです。

『JTBパブリッシング』櫻井編集長:
6ポケットという、少子化で1人の子どもに両親やおじいちゃん・おばあちゃんたちが物を買い与える時代になってきて、市場が広がっていた

小学生がラノベで「金融」を学ぶ

学習児童書は、まさに魅力的な市場…ということで、
JTBパブリッシングは、学習マンガのように楽しく知識を身につけられる「学習ノベル」という新ジャンルも開拓。「ネットリテラシー」や「金融」について学ぶ本を出版しています。

例えば、「俺のマネースキルが爆上げな件」(1210円)は、ムダ遣いしがちな小6男子が貧乏神にとりつかれ、お金との賢い付き合い方などを教えてもらう物語。
全25話のライトノベルですが、1話が約1500文字で5分ほどで読み切れるボリュームで、章の間には「バブル経済」や「スタグフレーション」など経済用語の説明も書いてあります。

かつては旅行のお供だったガイドブックでしたが、これからは子どもたちを「知識の旅」へ連れていってくれるようです。

(THE TIME,2025年2月24日放送より)