学習図鑑の初版発行は多くても1〜2万部といわれる中、異例の12万部となっている「国宝の図鑑」が注目されています。

「絶対に楽しめる」国宝の図鑑を作ったワケ

20年以上にわたり人気の学習図鑑といえば、「小学館の図鑑NEO」シリーズ。
動物・昆虫・地球など、子どもの素朴な疑問を分かりやすい解説と写真で紐解き、累計発行部数は1500万部!

その中でも大ヒットとなったのが、美術に特化した新ジャンルとして発売された『小学館の図鑑NEOアート 図解 はじめての絵画』(2970円)。1か月で3回重版し、27万部を売り上げています。

さらに、同シリーズ第2弾の『はじめての国宝』(2970円※2月19日発売)は、初版12万部という「異例の部数」を発行!

それにしても、「国宝」とは少し渋い気もしますが…

『小学館』文化事業局 磯貝晴子さん:
「日本美術は絶対に面白いと私は思っている。手に取ってもらえたら絶対に楽しんでもらえる1冊になっています」

「子どもは分解好き」だからこその“仕掛け”

国宝をただ紹介するだけでなく、一度手に取ったら釘付けになる、「楽しく読める仕掛け」がたくさんあるという『はじめての国宝』。

例えば、「ほんとうに手が1000本あるの?」というページでは、見開きに「千手観音菩薩立像」(奈良・唐招提寺金堂)の“1000本の手”が分解された写真がドドーン。像本体を取り囲むように、5重の円状に大きな手から小さな手までズラリ並んでいます。

『小学館』磯貝さん:
「結構子どもは分解することが好きだったりとか、プラモデルみたいで面白いなと思った。写真は編集部で新たに撮り下ろしたものではなく、2003年頃、修理された時に修理者たちが撮影したものを借りている」

表紙の裏側には、「金剛力士立像」(奈良・東大寺南大門)を、3000のパーツに分解した写真も大迫力で掲載されています。

国宝を「原寸大」で見られる仕掛け

さらに、「風神雷神図屏風」(俵屋宗達筆)の風神や、「執金剛神立像」(奈良・東大寺法華堂)など4つの作品の“顔”を原寸大で掲載。

自分の顔の大きさと比べたり、どの顔が一番大きいか自分の手を使って比べたりもできちゃいます。

『小学館』磯貝さん:
「実際に4作品を寺や美術館で見ると、ちょっと距離があったり薄暗かったりするので、原寸の図版を載せることで、目の前で臨場感や没入感が味わえる」

また、国宝は何を使い、どうやって作られているのか「作り手からの視点も紹介したい」という思いから、作品の「素材」「技法」に関するページも!
国宝の多くに使われている「墨」はどう作られるのか?など、写真付きで細かく解説されています。