80年前の沖縄戦で旧日本陸軍の司令部が入った第32軍司令部壕(那覇市首里)の保存と公開について検討する県の有識者委員会が10日開かれ、新たに床板などが発見された第1坑口の公開方法などについて議論が交わされた。
旧日本陸軍が構築した第32軍司令部壕は、多くの住民の犠牲につながる「南部撤退」など重要な決定が下された場所で、沖縄戦の実相を伝えるため、県が公開に向けた取り組みを進めている。
10日開かれた委員会では、第1坑口で新たに発見された床板や壁面などの公開方法について委員から「実物を見てもらうことは沖縄戦を学ぶ上で重要だ」として、そのまま公開すべきといった意見が上がった。県は、遺構が発見された場所は水がたまりやすく劣化が避けられないとして、埋め戻して保存したうえでその上部に第1坑口を再現するなどの方法を提案した。

一方で発掘調査は今後も続くため、当面は調査の様子も合わせて第1坑口を公開し、全体像が明らかになった段階で再度公開方法を検討するとしている。
県は委員から出された意見などを踏まえて今年度中に計画案を策定し、再来年度の一部公開に向け取り組みを進める方針。