どんな時も笑顔を絶やさなかった息子 その笑顔を奪った顧問の叱責



空手部の主将となって、当時の顧問から激しい叱責を度々受けるようになった息子。2021年1月、その冬一番の寒さとなった日。家に帰らない息子を案じ、捜索願を出そうと警察を訪ねているとき、息子がけがをして病院に運ばれたと連絡が入り、駆けつけると……

▼母・みかさん(仮名)
「鑑識の人らしき人がビニール袋に靴を持っているのが見えたんですよ。……え?あの靴……。私は当時びっくりして、おそらく刑事さんの腕をつかんだと思うんです。『息子に会いたいんです。息子に会わせてください』と、すごく怒鳴った覚えがあります。想像できますか?朝、いってらっしゃいと見送った子の返事がなく、目の前に見えているのは……息子が朝履いていった靴が見えるんです」



▼母・みかさん(仮名)
「息を引き取っても一生懸命呼びかけたんですね。『帰るよ、起きて。帰るよ』って。どんなに呼んでも返事をしないんですね。まだ体温はあるのに、返事してくれないんですよ。返事しなくても帰ろうって。目を開けてくれないんですね。あんなに頑張ったのに、どんなにいろいろ言われても歯を食いしばって頑張ったのに、こんなことあるのって、黒いファスナーの袋に入れられて……」

我が子を亡くすということは、どんなことなのか。その苦しみを伝え、再発防止につなげてほしいと願い、思いを語ったみかさん。

▼母・みかさん(仮名)
「どうかこれからの教育現場で子どもたちを守るために、頑張っていってほしいと思います。今でも夢であったらいいなって。やっぱり私、4年間悪い夢を見ているんだって思うぐらい、息子に会いたいです。こういう思いをする家族が、もう二度と出ないようにしないといけないんです」



息子の将来の夢は教師になることでした。「たくさんのいい先生にも巡り合っていたから」と、みかさんは話します。遺族の思いを胸に刻んだ教員たちは……



▼コザ高校 大嶺哲司 校長 
「コザ高で起こったというのは、変えられない事実だと思っています。自分の子どもに重ねる、自分の子どもが同じような状況だったら、どれだけ心が取り乱れるだろう、という思いになりました。大切な命を預かっているということを、しっかり心に留めながら、真摯に生徒に向き合うことが大切だと思っています」

2度と同じ悲劇を起こさない。重い十字架と向き合うコザ高校の取り組みは、始まったばかりです。