「遅すぎ」の声も フジテレビの対応は?
藤森祥平キャスター:
フジ・メディア・ホールディングスは、日弁連のガイドラインに沿った、より独立性の高い第三者委員会を設置し直し、そして1月27日(月)にオープンな形で会見を行う決定をしました。

企業法務や労働法に精通している西脇亨輔弁護士は、「世間に納得・信頼回復が必要なことだとわかっていたのに、なぜ最初からやらなかったのか遅すぎる」というご指摘です。

教育経済学者 中室牧子さん:
1回目の社長の会見は、やはりオープンでやられた方がよかったと思います。普段、企業や政治の不祥事を追及している側が、自分たちが追及される側になったら映像を認めないというのは、もう言行不一致としか言いようがありません。
一方で、私はこの問題を考えるのに一番重要なのは、この第三者委員会が出してくる結果が大事だと思います。現時点では、事実関係はほとんど何も明らかになっていません。この時点でガバナンスや企業の体質についての批判をするのはタイミングが早すぎると思っています。
なぜそう思うかというと、以前、兵庫県の知事選で、百条委員会の結論を待たずに斎藤知事を解任して選挙をやり直しましたが、結局、県民が選んだのは斎藤氏でした。そういうことを踏まえて、客観性・信頼性の高い調査を見た上で判断する必要があると思います。
今回はまだ調査の結果が出てないので、私としては3月に出てくる調査の結果こそ、報道機関にしっかりと報道してもらいたいと思います。それが果たしてフジテレビ個社の問題なのか、あるいは社会全体として何らかの問題を抱えてるのかを分析して、提示してもらいたい。
3月こそ本番。だから、今これについて発言するのは、場合によっては行き過ぎかなと思います。
小川彩佳キャスター:
中居正広さんが引退を表明することにもなりましたが、これについてはいかがですか?
中室牧子さん:
事態の全容をご存知である数少ない方なので、その方が引退されるとおっしゃる限りは、それを尊重しようと私は思います。
一方で、どうしても釈然としない、腑に落ちない感じもあります。以前、東京五輪の開会式に関わっていた人たちが、週刊誌の報道で次々に辞任をされるっていうことがありました。あの時に、『キャンセルカルチャー』っていう言葉が流行り、未熟・不適切・不快にさせたなどの様々な問題があるが、そういう人たちを一斉に退場させるような、集団的に批判し、社会的に抹消するような社会のプレッシャーがありました。
今回の場合は、被害者がいらっしゃるので、軽々に言えない部分はもちろんあるのですけれども、私は“敗者復活”を許さない社会になって本当にいいんだろうかと思うこともあります。間違いを認めて、反省・謝罪し、同じ場所ではないかもしれないけれども、やり直すことがあることは、私は大事なことだと思います。
小川彩佳キャスター:
憶測が憶測を呼んで、中居さんご自身も肉声で何も届けることができず、届けないままこうして引退という表明に至ってしまいました。そして、被害を受けた側の方もSNS上では特定合戦のような、一体被害者は誰なのかという異様な空気が広がっている状況にもやるせなさを覚えます。

藤森祥平キャスター:
23日は、フジテレビの社員向け説明会の内容が、フジテレビの夕方のニュースで報道されていました。視聴者の方のために少しでもオープンにしようという気持ちは姿勢としてとても伝わってきました。
ただ、本当に明らかにすべき問題解決の本質の部分を、いかに明らかにしていくのかがやはり重要なのかなと思いつつも、何も知らせないまま批判に晒されている社員の皆さんの気持ちを思うと、その怒りやつらさが痛いほど伝わってきます。
中室牧子さん:
自分が社長だったら、自分の会見はオープンにして社員は出さないと思います。そこはリーダーシップに対する考え方の違いもあるのかもしれませんが、社員をここで出すべきなのか、オープンにすべきなのかは様々な意見があるのではないでしょうか。
小川彩佳キャスター:
正常な判断ができないような空気が蔓延しているようにも感じます。その中で、今なされるべきことはフジテレビが訴えを起こした被害者の方に、どのような対応をしたのか、その対応が適切だったのか、これをきちんと遡り、検証して、つまびらかにし、包み隠さずそれを明らかにするということですよね。
藤森祥平キャスター:
その中には、組織的・構造的にそういうやり取りが常態化していたのかという点も含めて、明らかにしてほしいと思いますし、これは同じ業界の私達も戒めながらお伝えしたいです。