タイできょう、同性どうしの結婚を認める法律が施行されました。東南アジア初となる同性婚の合法化を心待ちにしていた日本人女性を取材しました。
記者
「バンコクの商業施設には、婚姻届を提出する同性カップルが続々と訪れています。きょう一日で、300組が届け出をするということです」
きょう、タイで施行された同性婚を認める「結婚平等法」。条文では「男性」「女性」を「個人」に変更し、税金の控除や相続、養子縁組などの権利が認められるようになりました。
婚姻届が受理されたカップルの中には、日本人女性もいました。タイ人女性と結婚した瓜生安希さん(42)。この法律では、外国人でも同性婚が認められます。
瓜生安希さん
「嬉しい、嬉しいです。正直、自分が生きている間にこういう法律がスタートするなんて期待もしていなかった」
ワリン・クァンピグンさん(43)
「一緒に頑張ってきて、苦労することもあったけど、今はもう安心です」
2人はバンコク郊外で暮らしています。日本にいた頃は、自身の性について、家族や親しい友人以外に打ち明ける勇気がなかったといいます。
瓜生安希さん
「(性自認のことを)言ったら仕事にも影響あるでしょうし、そんなの怖くて言う気もしなかったし、隠してましたよね」
8年前に移住したタイではワリンさんとの交際をオープンにし、去年7月には、タイに家族などを呼んで結婚式を挙げました。
瓜生安希さん
「(タイは)女性同士、男性同士のカップルは本当にいっぱい分かるような形でいらっしゃいますよね。こんな形って日本で見たことなかった」
タイでは近年、“LGBTツーリズム”を掲げ、観光客の受け入れを進めたほか、同性愛をテーマにしたドラマ作品を世界に発信してきました。また、性別適合手術など医療技術が発展してきたことも、「ジェンダーに寛容な国」というイメージを定着させました。
こうした社会の変化に伴い、企業の意識も変わりつつあります。タイの国営企業は3年前、同性のパートナーがいる従業員にも、男女の夫婦と同じように住宅ローンの補助や結婚支援金を提供する福利厚生制度を導入しました。
KTC 人事部長 ピヤスダー・クェンノンシーさん
「(LGBTQ+の)従業員のアイデンティティをありのままに受け入れ、オープンな会社であるべきだと考えています」
ただ、そんなタイでも性的マイノリティーに対する偏見や差別はいまだに根強く、同性婚の法制化には10年以上かかりました。
ワリン・クァンピグンさん
「私自身、(同性愛が)異常なことだとみなされ、いじめられたこともあります。やっと法律ができて、充実した生活ができるようになるので嬉しいです」
同性婚が実現できた瓜生さんは、母国の日本でも早く法整備が進んでほしいと願っています。
瓜生安希さん
「何かあって日本に帰らなくちゃいけないってなったときに、彼女を結婚した相手として連れて帰れないんだと思うと、寂しいですよね。(日本でも)制度がバーンってスタートできちゃったら、(人々の)考え方も変わってくれるんじゃないかな」
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