「生理小屋」に閉じ込められる少女たち
松尾さんは、2009年から2023年まで、国連機関の職員として、世界中で様々な人道支援に携わってきた。
特に、アフリカやアジアなどで「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ=女性が性と生殖に関することを自分で決める権利」の確立のために奔走した2021年からの2年間は、女性や少女たちの過酷な現状を目の当たりにした。
生理期間中、「生理小屋」と呼ばれる小屋に閉じ込められる少女。
性器の一部または、全部を切除する「割礼」、14歳以下で母親になる少女たち。
松尾さんは、こう話す。
大阪公立大学・特別研究員 松尾敬子さん
「今これから生理を迎えるであろう子どもたちが、
これからも生理を恥ずかしいことだと思い、痛みを我慢し、
積極的に自分の体におこっていることを受け入れられない社会を
我々が続けてもよいのか、ということです。
濃淡はまだまだあると思いますが、男児もふくめ、自分の体と心を、
そして他人の体と心をより大事にできる環境を作らないといけない
と思っています」

世界で起きている人道問題の中でも、女性や少女たちが直面している性や生殖の課題は、語られることも、報じられることも少ない。