毎年この時期に行われる北海道南部、木古内町の『寒中みそぎ祭り』。以前、“担い手がいない”継承問題をお伝えしましたが、果たして、無事に行われたのでしょうか。

しんと冷え込んだ神社。訪れた人の視線の先は…。“行修者(ぎょうしゅうしゃ)”と呼ばれる若者たちです。豊漁や豊作を祈る、北海道木古内町の伝統行事『寒中みそぎ』。200年近い歴史を持つ、大切な地元のお祭りです。


“稲荷” 平野心太さん(17)
「(水を)かぶり続けるしかない。かぶらなかったら、客の前でブルっちゃって、恥ずかしい思いをしてしまうので」

ご神体を清める行修者は、4年連続で務め、毎年1人ずつ入れ替わる習わしです。しかし、去年、4人の行修者のうち1人が辞退。今年の分と合わせて2人足りず、初めて“公募”に踏み切るも難航していました。


そんな悩ましい状況について、去年11月『今日ドキッ!』が取材し、放送すると、7人の応募があったのです。このうち、2人が新たな“行修者”に選ばれました。


“弁財天” (札幌から) 谷口生貴斗さん(23)
「継承が厳しい状況にあるというのは報道で初めて知って、こうした“地域の力”に自分自身が貢献できたらという思いに駆られた」

放送を見た母親に勧められ、「自分を変えたい」と決断した高校生もいました。

“山の神” (函館から) 西谷潤紀さん(17)
「もともと人前に出ることが得意ではなかったので、こういうのって大勢人が来るじゃないですか。そこを変えられたら…」


番組を観て、伝統の祭りの危機を知り、わが子へ参加を勧めた母親の姿が、木古内町にありました。

西谷潤紀さんの母 麻紀さん
「子どもの成長を感じて涙なしにいられなくて…」

そして15日。極寒の津軽海峡でご神体を清める『寒中みそぎ祭り』のクライマックスを迎えました。4人の行修者が真冬の海を前に、勇ましく浜辺に立ちました。

そして、身体がこわばるほどの冷たい海で無事、役目を果たしました。

西谷潤紀さんの父 潤さん
「息子ながら誇りに思います」


“山の神” (函館から) 西谷潤紀さん(17)
「やらないと自分の甘さが見られなかった。本当にやってよかった」

“別当” 齊藤亘さん(26)
「次の世代に、この祭りを残す気持ちで今年取り組めて、最後4年目が終わってよかった」

まもなく200年を迎える「みそぎ祭り」。伝統は次の世代につながっていきます。