9月、静岡県の認定こども園の通園バスに、3歳の女の子が置き去りにされ、重度の熱中症で死亡しました。
子どもが車に置き去りにされた場合、どのように自分の存在を知らせるのか。
模索する動きが広がる中、鳥取県米子市で、ある装置が完成しました。

静岡県で発生した事故では、通園バスの中に3歳の女の子が5時間以上置き去りにされ、重度の熱中症で死亡しました。

全国で対策が急がれる中、ありそうでなかった装置を、米子市の認定こども園が開発しました。


「プー!プー!」
園児がそのボタンを押すと、大きな音でクラクションが鳴り響きます。
その名も「たすけてぼたん」。

送迎車の乗降口近くに設置されたこのボタンを押すと、通常は運転席からしか鳴らせないクラクションを、園児でも簡単に鳴らすことができるんです。

Q押すの簡単?
園児「簡単」
園児「押すのがギュってして緩かったから」


「たすけてぼたん」は、市内の自動車整備会社の協力を受けて製作。
きっかけは、静岡での事故を受けて実施した訓練でした。

かいけ心正こども園 秋田昌志 理事長
「子どもがクラクションを鳴らす訓練を実際にやってみました。運転席と客席を仕切るバーを越えて運転席に行くということが、なかなか小さい子には難しかったんです」

運転席と客席を仕切るバーがあり、園児がクラクションを鳴らすのは困難でした。
このバーは園児が運転席に行かないための安全対策なので、取り外すこともできません。
さらに…


かいけ心正こども園 秋田昌志 理事長
「パッと目が覚めて周りに誰もいなかったら、え、どうする怖い!っていうことになってくると思います。そういう時に冷静に「運転席に行かなきゃ、ブザー鳴らさなきゃ」というのはなかなかできない判断。これだと見えた時にバンって押すっていうのはできるかなぁと思いました」

万が一の時のために「たすけてぼたん」を押すことを習っておけば、子どもたちでもクラクションで助けを呼ぶことができます。


この園では、運転手と添乗員の2名運行のほか、乗降時のICリーダーでの出欠確認など、チェック体制を整えていますが、「たすけてぼたん」もあわせて、不測の事態に備えます。

かいけ心正こども園 秋田昌志 理事長
「1番大事なのは子どもの命、子どもの安全。子どもたちが本当に安心して楽しく園生活を送れるようにそれを願ってボタンを設置しました」


この園では、10月いっぱいをめどに、すべての送迎バスに「たすけてぼたん」を設置する予定です。