バレエダンサーとして世界を舞台に活躍する鳥取県米子市出身の女性がいます。
しかし国際情勢の影響を受け、一時はバレエを続けられなくなったことも。
どんな状況でもプロとして活動を続ける彼女が目指す姿とは。
米子市出身で現在、「チェコ国立バレエ団」で活躍する井口陽花さん。
井口さんがバレエを始めたのは5歳の時。
先にバレエ教室に通っていた姉の姿を見て、自身も姉と同じ米子市内の
バレエ教室に通い始めました。
井口陽花さん
「妖精さんみたいだなと思ったのは覚えていて、やっぱり美しいものに憧れがあったので」
そんな井口さん、世界トップレベルの環境でバレエを学ぶため、高校1年生の時、単身でバレエの本場ロシアに行くことを決意します。
井口陽花さん
「みんな開脚が180度以上、イスとイスに足乗せてそのまま床に腰がついちゃうような子たちばっかりだったので来る世界間違えちゃったかもと思って、自分がとんでもない世界に挑戦しようとしてるんだなってそこで改めて気づかされて、すごく差に苦しみはしました」
昼はバレエアカデミーで汗を流し、
夜は日本の通信制の高校で勉強する日々を続け、卒業後はロシアのバレエ団に入団。
世界各国の舞台に立ちました。
しかし2022年、ロシアによるウクライナ侵攻が始まります。
井口陽花さん
「毎日不安でこの先がどうなるかもわからないのに自分から今までちょっとずつ重ねてきたその夢への一歩を全て断ってしまうような気がしてやっぱりやめるかどうかとか、(ロシアを)出るかどうかすごく毎日葛藤してたんですけど」
泣く泣く帰国を決断しましたがバレエの道をあきらめきれず、オーディションを受け始めました。
井口陽花さん
「絶対オーディションにすぐ挑戦しないとっていう意思があったので、そのままヨーロッパに行って1か月オーディション活動してから一時帰国したんですけどそのときは100通ぐらい送ったんですけど、結局受けていいよって言われたのが、3,4件あったかないかぐらいでそこも全部駄目で」
それでも、自分の苦手分野を克服しつつ、プロとして活動できる場を1年間探し続けました。
そしてチェコのバレエ団に合格。
現在は主役級の役柄もこなしています。
そんな井口さんが目指すのは。
井口陽花さん
「やっぱり一番は私にしか踊りはできないよねって誰が見てもなんかあの陽花っていう人しかあんなふうには踊れないよねっていうようなやっぱり誰が見てもすごく素敵だなって思うようなバレエを知ってる人でも知らない人でもそんな方でも見て美しいなって思われるようなダンサーになりたいですし演じているんではなく、本当に憑依してるようなダンサーになりたいなって思います」
たとえ、どのような苦難があろうとも。
強い思いと行動力で勝ち取った世界の舞台で、井口さんは踊り続けます。