国宝・松江城を中心とする松江城山公園で、天守に近い49本の木が伐採されることになりました。いったい、どうしてなんでしょうか。

国宝・松江城。別名・千鳥城とも呼ばれ、国際文化観光都市・松江を象徴する存在です。その松江城での一挙49本の木の伐採が明らかになったのは9月22日でした。

松江市 上定昭仁市長 記者会見
「国宝松江城天守防火対策事業についてです。天守の東側の樹木の伐採についての計画についてご説明をさせて頂きます。」

伐採計画について、市の担当者は・・・。

松江市 松江城・史料調査課 飯塚康行課長
「国宝天守の松江城、これをですね、良好な状態で後世に伝えて行くために必要なことだと。」

市が伐採を決めた背景には首里城などの火災があります。江戸時代の城は軍事施設でもあり見通しを悪くする樹木はほとんどありませんでしたが、明治以降に公園として利用される中で木が植えられ、今では3206本あるといいます。

飯塚課長
「かなり園路(道)の方に傾いておりますので、危険性があるという風に思います。」

伐採されるのは天守に近く、強風で倒れたり、落雷で燃えると延焼のおそれがあったりする49本、全体の1・5%の木です。この中には樹齢150年以上と思われる巨木4本が含まれます。さらにはこんな状態の所も・・・。

(リポーター)
「石垣がかなり出っ張って来てしまっていますし、石と石との間がかなり空いてしまっています。これはちょっとすぐ崩れてしまうかも知れませんね。」
飯塚課長
「そうですねえ、そういう風に思います。」

木の根が裏側から押す形になり石垣を崩すおそれがあるのです。

飯塚課長
「現在樹木で遮られて見えない天守が見えて来る。築城当時の景観が蘇るという、そういった効果もあるかと。」

市が作った伐採後のイメージCGでは、現在は全く見えない天守が北側からも見えるようになっていて、松江歴史館や塩見縄手への観光客の回遊が増えることも期待されています。

市は今年度中に伐採を行い、合わせて城の中の火災報知機やスプリンクラーなどの防災設備を更新することにしています。