炎上後のトラウマ そして新たな発見
バッシングを受けた当初、自身の気持ちを分かって欲しくてすべての意見に返信をしていたが、事態は悪くなるばかり。
「日本人になった喜びが奪われた」「帰化しなければよかったかも」と感じた。家に閉じこもり、再び食べることが出来なくなった。
しかし「顔の見えない日本人」による攻撃から守ってくれたのはやはり「日本人の友人」だった。
しばらくはSNS、特にX(旧ツイッター)から離れるよう助言を受け、コメントを見ない、発信しないことで1か月後に心がようやく落ち着いてきた。
そして一つの確信を得た。「反対意見」と「誹謗中傷」は違う。「意見の違い」と「人格否定」は同列ではない、と。
すべてのことに感謝の気持ち
アンさんは、今、誹謗中傷を受けた経験でさえ感謝すると言う。
「誹謗中傷は良いことではない、場合によっては罪に問われる可能性もある」が、その闇の中で良いこともあったという。
今回受けたバッシングで、大学の学生たちが何に傷つき、怯え、時に「ひきこもり」などに至るのか、身をもって体験し理解の一助になったからだという。
日本の良いところと、未成熟なところの両方を見たからこそ、日本がますます身近に感じたという。「旅行者では決して感じることのない愛」だと表現する。
アンさんは思い切って再び、Xで移民問題について発信した。
そこには他者から多様な意見が寄せられている。差別表現が含まれるものを除けば、アンさんが自分と違う意見のポストを削除することはない。
アンさんは自身のブログにこう綴っている。

「一時的に日本が嫌になったけど、今は日本への愛情は以前より強い。良くても悪くてもこの国を愛することに決めた。日本は私の国だから。私は日本人だから」
RKB毎日放送 アナウンサー 下田文代