最近、街でよく見かけるコインランドリー。日本の技術が詰まった洗濯機ですが、開発した老舗メーカーが今年、スウェーデンの会社に買収されました。いま、海外から見ると日本の企業は“お買い得”なんだそうです。そこには円安だけではない理由も。
なぜ買収?ハワイアンズ取得のファンドを初取材

まるでハワイのような、福島県いわき市の「スパリゾートハワイアンズ」。軽快なリズムに、弾ける笑顔で魅了するフラダンスが目玉です。

2024年、突然買収が発表されました。仕掛けたのは、アメリカの巨大投資ファンドです。百貨店の「そごう・西武」や「アコーディア・ゴルフ」などを続々と買収していて、抱える顧客は1100万人規模。一体、なぜ買ったのか?
16日、買収成立後ファンドの代表が初めてテレビの取材に応じました。

フォートレス・インベストメント・グループ 山下明男 日本代表
「60年の施設の歴史がある。こんなの今から作れないですよ。皆さん、生活感覚も変わってきて、海外行くよりも国内でゆっくり過ごそうと。磨けば光ります、まだまだ光ります」
ハワイアンズは、高度経済成長期に日本初のテーマパークとして開業。オープンから5年後、1970年には年間来場者数155万人を記録。2025年に60周年を迎える今も、毎年100万人が来場しています。しかし、課題も抱えていました。

常磐興産 営業企画グループリーダー 國井秀文さん
「(屋根は)創業当時から骨格が変わっていない。温泉のメンテナンスや館内の設備の維持、快適な空間の維持は難しい」
東日本大震災やコロナ禍で借り入れは膨らみ、老朽化した施設を修繕する資金はなく、財務の改善が必要でした。
買収額は140億円。海外から見れば、これはお買い得なのだそうです。
フォートレス・インベストメント・グループ 山下明男 日本代表
「フラガール、ダンサーの方々というのは本当にリソース。いないと会社が成り立たない。企業やホテル投資、施設かもわかりませんが、まだまだ興味あります」

今、外国企業による日本企業への買収が相次いでいます。2024年1月から9月までの金額で比較すると、2023年より17倍近く増加。11兆円に達し、過去最高となっています。
この要因の一つとなっているのが歴史的な円安です。7月には、1ドル=162円台目前まで迫り、セブン&アイもカナダのコンビニ大手から買収提案を受けました。
かつて日本は外国企業を「買う側」でした。1990年には、ニューヨークの「ロックフェラー・センター」を三菱地所が約1200億円で買収したことも。
ニューヨークの街の人(1989年)
「よそ者に買われてしまう」
「金があれば何でも買える、それがアメリカ」
時を経て今、「買われる側」に変化しつつある日本。では、買われると何が変わるのでしょうか。