8月に新潟県柏崎市の海水浴場で8歳の男の子と祖父が死亡した事故がありました。
この事故を受け、水難事故の専門家が現地調査を行い、『戻り流れ』という危険な強い引き波の現象が発生していることを確認しました。
大型の台風14号が新潟県内を通過した9月20日。
温帯低気圧となった後に柏崎市の中央海水浴場に調査に入ったのは水難学会の会長を務めている長岡技術科学大学の斎藤秀俊教授と犬飼直之准教授です。
【長岡技術科学大学 斎藤秀俊教授】「今日ちょうど、あの日とだいたい同じくらいの波が出ているので」
8 月17日、この海水浴場では溺れた8歳の男の子と、助けに向かった69歳の祖父が死亡する事故がありました。

事故当時は、10メートルの風と2メートルほどの波がありました。
20日は、台風の影響で当時と似たような状況となったことから斎藤教授らが調査を行いました。このような強い風と波の状況では強い引き波による『戻り流れ』という現象が生まれます。

【長岡技術科学大学 斎藤秀俊教授】「ここちょっと膨らんでいるところ、この両脇が土地が少し凹んでいる。この凹んでいるところに波が集中してずっと戻っていくという現象。これを戻り流れと言うがきょうはそれが明確に現れている」

こちらはドローンで上空から撮影した映像です。砂浜に打ち寄せた波は、くし状の強い引き波となって海へと戻っていきます。
中央海水浴場ではこの戻り流れの現象が等間隔で発生していることが確認されました。

戻り流れに巻き込まれるとどれくらいの力で海に引っ張られるのでしょうか。ロープがついた浮輪を流すと…
【長岡技術科学大学 斎藤秀俊教授】「これで2発目が行きますでしょ。これですよ。こうだもん。この引きですよ。1発目はそんなもんでもない。2発目でロープで持っていても体がもっていかれるくらい。それぐらい強烈ですから。本当に普通の人では助からない」

上越市柿崎区上下浜の海岸でも2014年に、波打ち際で遊んでいて波にさらわれた小学生3人と助けようとした大人2人が死亡する事故がありましたが、この事故も戻り流れが原因とみられています。

長岡技科大らは当時の調査で戻り流れの速さは離岸流のおよそ10倍、時速45キロほどだったと試算しています。こうした戻り流れが発生する海岸には特徴があると犬飼准教授は指摘します。

【長岡技術科学大学 犬飼直之准教授】「少し遠浅というよりは急に深くなるような地形ということで波が砕けない、砕波しないでそのまま海岸を駆け上がる。という少し危ない海岸ということを聞いているのでそれを確認しに」

齋藤教授らはこの日集めたデータをもとに調査結果をとりまとめたいとしています。