西:
ニュースの言葉。今回はこちらです。「アメダス」気象観測でおなじみですが、正式には「地域気象観測システム」で、英語表記の頭文字をとってアメダス、です。
橋本:
降ってくる雨のアメ、じゃないんですね。


西:
多少、かけてる面もあると思いますけどね…。
このアメダスの観測データから年間の平均気温を比べると、富山県内では上市が富山に比べて3℃ほど低いという特徴があります。
いったいなぜなのか。実際に気温を計測している上市のアメダスを見に行ってきました。

西:
「富山県上市町、上市駅前にやってきました。よく晴れていて暑いです。体感温度としては富山にいるときと変わる感じはしないんですが…どうなんでしょう」
ということで、まずはスマホの地図アプリでアメダスを検索。

西:
「これですかね?上市地域気象観測所。駅から車で13分、14分。そんなに街なかから遠い感じはしないですね」
ナビの案内で、いざ出発!しばらくは道なりで、ひたすら直進すること、およそ5分。

ナビ:
「間もなく、右方向です」
西:
「右…?」「ダムの方に向かうんですね?」
その後は、また道なりに。
ひたすら山を登っていきます。同じようなくねくね道が続き…走り続けると。

西:
「田んぼが広がっている」「山の中腹にある集落という感じですかねえ」
たどりついたのは、上市町の東種(ひがしたね)地域。細い道を通り抜けると、ようやく、それらしき小屋を発見しました。

西:
「あれっぽいんですけど…」
降りて近付いてみると…
西:
「あ!これこれ、これですよ!」
これが、上市のアメダス?
上市のアメダスを探してたどりついたのは、山道をのぼった先の上市町・東種地域。細い道を通り抜けると、ようやく、それらしき小屋を発見しました。

西:
「上市地域気象観測所、富山地方気象台!」「それにしてもちょっと…周り完全に山に囲まれて。何もない。ここはどういう場所なんだろう?」

実はここ、今は休校中の小学校のグラウンドでした。気象庁の資料によれば、富山地方気象台の標高が9メートルなのに対し、上市の観測点の標高は296メートル。飛び抜けて高い場所にあるんです。
気温計は、このシルバーの筒の中にあり、計測したデータは小屋の中の送信機からLTE回線で気象庁に送られています。



西:
「今、午前10時44分で直近10時30分の気温ですけれど、富山は30℃超えてますが(富山32・8℃)上市は27・7℃。だいぶ差がありますね」

実はこの日は、フェーン現象が発生して富山では猛暑日を記録した日。

西:
「確かにきょう気温が上がる予想だったので暑さ覚悟してきたんですけど、だいぶ涼しく感じます」「やっぱり山の上だからですかね?」
でも、なぜ、上市の観測点を、こんな山の上に設置したのか。

富山地方気象台 木瀬宏和調査官:
「昭和53年に(観測点を)移設した」「その前までは上市町の平野部にあったと聞いている」

実は、上市の観測点も、1970年代までは、町の中心部に近い平野部の稗田(ひえだ)にあったと言います。しかし、それをなぜ山間部に移したのか尋ねると。
富山地方気象台 木瀬宏和調査官:
「申し訳ないです。それについては資料が残っていないので分からないです」
気象台と上市町が相談して決めたそうですが、50年近く前のことで、はっきりとした理由は分からないと言います。ただ、ひとつ、手がかりが…。
富山地方気象台 木瀬宏和調査官:
「ここで観測が変わってますね」
1977年までは、降水量だけを観測。観測点を移設した1978年からは、風や気温に関するデータも合わせて観測するようになっていました。


実は、アメダスは、各地のデータをバランスよく収集するため、一定の間隔を空けて設置されています。観測が降水量のみの場合はおよそ17キロ。風や気温など複数の要素を観測する場合は、およそ21キロ間隔が目安です。

かつての観測点「稗田」は、富山と魚津の観測点との距離が15キロほどでした。新たに気温や風の観測も始めるにあたり、データの偏りを防ぐため、ある程度離れた場所を探った結果、山間部の「東種」になった可能性が考えられます。

富山地方気象台 木瀬宏和調査官:
「気温とか降水量とか、風向風速を計っているアメダスの中では、(県内では)一番高いところにありますので、少し高いところの気象データが手に入るようになりましたね」「移設してよかったことにはなるかと思います」

西:
あんなに山の上とは…驚いた。ちなみに、昨シーズン、上市で最低気温がもっとも低かったのは、今年1月の記録で氷点下10・3℃。気温を見るときは、山間部と平野部でどのくらい違うか、という意識で見るのがよさそうです。
今回のニュースの言葉は「アメダス」でした。
