父親と、重い自閉症を持つ息子の父子家庭。3年前に母親はがんで他界しましたが、亡くなる直前、息子に人生の節目ごとに見てもらおうと、病床からビデオメッセージを撮って遺していました。13歳の誕生日にビデオメッセージを再生すると…。母親の死を少しずつ受け入れて成長していく父子に密着しました。
突然の余命宣告…妻を亡くし、自閉症の息子と2人で暮らす日々

愛知県刈谷市に住む中野真一郎さん(57歳)は、息子の光一君(13歳)と2人暮らし。光一君に朝ご飯とお弁当を作るようになって3年が経ちました。
光一君は重い自閉症のため、ほとんど言葉を交わすことはありませんが父1人子1人、毎日を生きています。
妻の智子さんは、がんで54歳の若さで亡くなりました。常に明るくて笑顔を絶やさず、家族を支える存在だった智子さんに、病魔が忍び寄ったのは4年前のことです。

(中野真一郎さん)
「仕事に久しぶりに行ったときに『黄疸(皮膚が黄色くなる症状)が出てるよ』と言われて、がんがわかった。何もしなければ(余命は)3カ月、抗がん剤が効いても半年いくかなと言われたので、頭が真っ白ですよ」
智子さんは“自分の命は長くない”と知ってから、日記を書き始めます。最愛の息子、光一君のことばかり書かれていました。しかし、毎日書き続けたノートは9か月と3日で途絶えます。
お見舞いに行った光一君が、一瞬だけ触れた母・智子さんの手。この日に智子さんは息を引き取りました。