平均年齢70歳以上、大好きなサッカーで第2の青春を謳歌するサッカークラブが八戸市にあります。選手たちの元気の秘訣を取材しました。

軽快なパス回しに、見事な抜け出しからのゴール。


そのメンバーは60代から80代まで、平均年齢70歳超えのサッカーチーム、八戸シニアサッカークラブです。


春から秋まで毎週日曜日に集まって、第2の青春を謳歌(おうか)しています。
今から25年前、年齢による衰えにより、社会人リーグでプレーが出来なくなった選手の受け皿として市内に住む熊谷勝弘さんが青森県内初のシニアチームを立ち上げました。


※チーム創設者 熊谷勝弘さん(84)
「このままサッカーをやめたくない。何とかやろうと。うちにいるとやっぱりだめなんですね。いい仲間、いいチームを作って人生を楽しむ。」


熊谷さんの思いの輪が年々広がり、当初30人程度だったメンバーは現在、倍以上の64人に。

所属する選手の中には2015年の東日本大会で東北選抜に選ばれ、金メダルを持ち帰った実力者もいます。選手たちにとって、サッカーとは…。


村井昇さん(75)「さっぱりする」曽我幸信さん(64)「生きがい」佐々木浩美さん(62)「健康のバロメーター」前森充直さん(63)「サッカーに対して賭けています」

チームには創設から変わらない3か条があります。

※熊谷勝弘さん(84)
「まず親睦だよ、それから生涯現役だよ、勝負をかけるのは最後と」

勝負は二の次、誰もが無理しないサッカーがモットー…のはずですが、いざ二手に分かれて練習試合が始まると…「勝負は二の次」はどこへやら、真剣勝負が繰り広げられます。

※佐々木浩美さん(62)
「(昔は)市の代表とか県の代表のメンバーだから、こんな親善試合、練習試合でもファールが出ちゃうんですよ。どうしても。いい年して。」

そんな選手たちに、特に一目置かれる選手がいます。チームの最年長、工藤昌男さん87歳、サッカー歴71年を誇る県内最年長プレーヤーです。


85歳以上の選手のみ許される紫紺のパンツを身にまとい、ボールを蹴り続けています。

※県内最年長サッカー選手 工藤昌男さん(87)
「Q(この年まで)サッカー出来るって想像できました?いや、思っていませんでした。ブランクなく続けてやってきたおかげです。」

工藤さんは1958年、日本一を争う天皇杯に出場し、強いフィジカルで狙った獲物を逃がさないことから付いた二つ名は「マムシの昌男」


あれから半世紀以上が経ち、身体は衰えたものの、負けん気の強さはチームで1番です。

※工藤昌男さん(87)
「Q.いくつになってもサッカーでは負けたくない思いは? あります。それぞれの癖は分かっていますから右利き、左利き。シュートしないでパスしたりするなら『何やってる!シュート!!』って結構、気合をかけています」


そんな工藤さんの背中に「後輩たち」も力をもらっています。

※佐々木浩美さん(62)
「工藤さんに負けたくない。自分より年長のやっているのに自分がサボっていられない。」

※嶋脇秀一さん(73)
「年上がいるとまだやめられないなって。引退できないなって」


※工藤昌男さん(87)
「私が先導していきたい。身体だけは丈夫なものですから。おかげさまで。Q.まだまだ生涯現役? はい。やりたいと思っています。私はいつまでたってもサッカーボールが友達です。」

大好きなサッカーをやり続けることで、少年の心を忘れず、元気を持ち続ける選手たち。

彼らのサッカー人生はまだまだ続きます。