お茶や漢方の原料となる「アマチャ」の生産量が担い手不足などを背景に近年、全国的に減少しています。
そんな中、製造するお茶の原料の一部にアマチャを使う大船渡市の企業が、陸前高田市の農家と協力して生産に乗り出しました。

陸前高田市横田町にある小金山忍さんの畑です。
こちらの畑で14日、アマチャの苗600本の植栽が行われました。


アマチャとはアジサイ科の植物で、若葉は乾燥などの加工を施してつくる「甘茶」の原料になります。

(小金山忍さん)
「とりあえず根っこさえ生きてればここの上は枯れちゃうんですけど、来季分の根は出てくるので」

陸前高田市では初めてとなるアマチャの植栽が行われたのにはある理由がありました。
こちらは大船渡市に事業所を構えるバンザイファクトリーです。

「ここは椿茶っていう商品を作っているところなんですけど」

こちらの会社の主力商品は椿茶。

年間60万個以上ものティーパックが販売される椿茶の原料は、太平洋沿岸での自生の北限と言われる大船渡産や陸前高田産が中心のヤブツバキの葉。
そしてアマチャです。
椿茶の柔らかい甘みを出すためにアマチャは欠かせない原料だといいます。
しかし…

(高橋和良さん)
「アマチャの生産量がもともと落ちてはいたんですけど、極端に落ちてきたっていう」

これまで九戸村から仕入れてきたアマチャですが、高齢化と担い手不足などが原因で生産量が減り、仕入れが不安定に。

仕入れ先を広げようと全国の産地に当たってみた高橋さんですが、生産量が減っているのは岩手だけではないという事実を知りました。


原料を安定的に仕入れるために高橋さんが考えたのが、地元でのアマチャの生産でした。

(高橋和良さん)
「地元で作れたらいいなっていうのがずっと願いだったんですけども」

陸前高田市の小金山さんの畑およそ12アールで栽培されるアマチャは、再来年の夏に最初の収穫を予定しています。

(小金山忍さん)
「やっぱり自分がこだわって作って、さらにそのアマチャの価値が上がればいいなと。そういう上がるお仕事ができればいいなと思ってます」

大船渡市の企業と陸前高田市の農家がタッグを組んで取り組むアマチャの生産。
全国的に生産量が減少する中、新たな産地としての定着が期待されます。