1997年に島根県松江市の田和山遺跡で出土した、弥生時代中期の「すずり」とされる石。
表面に黒い線があり、日本最古の文字の可能性があるとされていましたが、松江市からの依頼を受けて、奈良県立橿原考古学研究所の所員などが分析した結果、「油性ペンの汚れ」だったとの結論が出たことが分かりました。
松江市埋蔵文化財調査課は、石自体は弥生時代中期の「すずり」であり、石の価値は変わらないとしています。
2020年に、国内最古の文字の可能性があると発表した福岡市埋蔵文化財センターの久住猛雄さんは、BSSの取材に対し次のように答えました。
福岡市埋蔵文化財センター 文化財主事 久住猛雄さん
「正直「まさか」と思いました。「風化でかすれたような文字」に見えたため、私を含めて実見した多くの専門家が「古い文字」と判断していました。
しかしながらこれは科学的検証であり、私からの直接反論は難しく、その分析結果が確定的となれば、この資料の「弥生時代の文字」説は撤回し、それを前提とする論も大きく修正する必要があります。しかしこれも学問の発展の上で仕方ないことでしょう。
ただし、このことをもって「板石硯」論は否定されません。
この石製品は、使用痕や形態、側面整形などから「板石硯」と考えていますし、「板石硯」登場以降(弥生時代中期以降)の「文字使用」の可能性は十分にあり、今後、弥生時代の文字資料が発見される可能性はあると考えています。
もう一つ重要なことは、どのような経緯で出土品にこのような「文字」状痕跡が生じたかについては、松江市による責任ある調査と検証が必要だろうとも考えています」
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