旧統一教会との関係断絶についての富山市議会の議決や市長の発言めぐり、信者の男性らが損害賠償などを求めた2つの裁判で、富山地裁はいずれの裁判も原告の請求を棄却しました。信者の男性は「不当判決だ」と憤慨していて、近く控訴する方針です。
信者・安田慎さん(仮名)「(Q.主張が認められなかったという司法判断への受け止めは?)それは、不当判決。不当判決だと私は声を大にして言いたいです」

富山地裁の判決に怒りの声を上げた男性。富山市内に住む旧統一教会の信者です。
富山市を提訴したのはこの信者の男性と、関連団体の富山県平和大使協議会で9日、富山地裁で訴訟の判決がありました。

富山市議会はおととし9月、旧統一教会及び関連団体と関係を絶つ決議を可決。男性は信教の自由を害するなどとして決議の取り消しと慰謝料350万円を求め、富山市を提訴しましたが、その後、大阪地裁での同様の裁判の判決を踏まえ、決議の取り消しについて訴えを取り下げました。

一方、富山県平和大使協議会は教団と関係を絶つとする藤井富山市長の発言などが宗教ヘイトに当たるとして損害賠償2200万円を求め、市を訴えました。2つの裁判は併合されて結審しています。
9日の判決で富山地裁は、いずれの裁判も原告の請求を棄却しました。
判決理由で矢口俊哉裁判長は、信者の男性の裁判について富山市議会の決議が公権力の行使に当たるとした一方「決議は法的効果を有するものではなく、政治参加や信教の自由は何ら侵害されていない」として男性の訴えを退けました。
毛田千代丸アナウンサー
「決議の取り消し部分を取り下げたうえでの判決。受け止めは」
信者・安田慎さん(仮名)
「ずいぶんハードルを下げたということになるんだと思います。しかしハードルを下げてこれ以上下げることはできないようなハードルだったとしても結果的には私たちの全面的な敗訴。何一つとして私たちの言い分は取られることはなかった」

一方、富山県平和大使協議会の裁判では教団と関係を絶つとする藤井市長の発言について「教団が不相当な献金や教義の強要等について訴訟を提起され、不法行為が認定された事例があること、不安をあおり高額な商品を購入させる霊感商法等で大きな問題となったことを理由としている」と指摘。そのうえで「教団の信仰や世界観、儀式など宗教的な側面に着目したものとは言えない」とし、宗教ヘイトには当たらないとしました。

富山県平和大使協議会 鴨野守 代表理事
「(決議や市長の発言で)自治体が後援を取り付けてくださった。そういうものを全部取り消しをされるとか、議員さん十何人の後援会組織を作ってその先生方の政治活動を応援したり、講演会を行ったり、またその方の誕生会をしたり、そうしたものの一切がですね、一切ができなくなった。それが法的に問題がないというふうなご判断に関しては全く承服できがたいと」

信者の男性と富山県平和大使協議会は近く控訴する方針です。

判決を受けて富山市長は「判決の詳細は確認できておりませんが、判決については、原告の主張が棄却され、本市の主張が認められたものと受け止めております」とコメントしています。














