青森県五所川原市が発注した工事を巡り、前の副市長ら3人が逮捕された官製談合事件。事件は「建設技術研究会」という団体が、官製談合の温床となっていたとみて警察は調べを進めています。
五所川原市が発注した3年前の市営住宅の関連工事3件の入札を巡り、特定の業者に落札させようと事前に取り決め、実際に落札させるなどして公正な入札を妨害した疑いが持たれている官製談合事件。
この事件を巡り、五所川原市の前の副市長・一戸治孝容疑者、建設設計を行う会社の役員・片山弘一容疑者、それに元市職員・石井隆夫容疑者の3人が逮捕・送検されました。
事件が明るみになった先週金曜日に取材に応じた佐々木孝昌市長は、報道陣にこう説明しました。
五所川原市 佐々木孝昌 市長
「私は一戸副市長は厳格で、人格者だと思っています。そういう意味で1期目、2期目、一戸副市長を任命したことは、後悔、間違ったという思いは一切思っていません」
事件の温床になっていたと見られるのが「建設技術研究会」という団体です。
この団体が設立されたのは2018年。市内の建設業者約100社で構成された任意の団体で、石井容疑者が事務局長、片山容疑者が理事を務めていました。
五所川原市議会の木村清一議長は、談合につながりかねない噂を事件以前から耳にしていたと証言します。
五所川原市議会 木村清一 議長
「研究会のメンバーに入れば要するに『仲間』という感じで、入札に入ったりするのかな…。昔からそういうような感じじゃないかな」
また、一戸容疑者は入札に参加する業者を決める市の指名審査会の会長を務めていて、警察は、この団体を通して一部加盟業者を優遇していた可能性があるとみて捜査を進めています。

こちらは関係者への取材を基にした官製談合の構図です。
まずは、指名業者を決定する権限を持っていた一戸容疑者が会長を務める市の指名審査会で、入札に参加する業者を決定します。
入札への参加指名の通知を受けた業者は片山容疑者が理事、石井容疑者は事務局長になっている建設技術研究会にその旨を報告します。
その後、研究会は落札させる業者に連絡をとりますが、ここで業者間では本来は明かすことがない、それぞれの入札価格を調整していたとみられています。
本来は公平であるべき指名競争入札ですが、3人の容疑者が取り決めた業者が落札できる構図ができていたとされます。