御嶽山の噴火から10年となった27日、遺族などが出席し長野県王滝村で追悼式が行われました。

噴火から10年が経った27日の御嶽山。空は広く雲に覆われましたが山頂は時折姿を現しました。

王滝村田の原にある御嶽山の登山口では、犠牲者の家族などでつくる「山びこの会」のメンバーがキーホルダーを配って安全な登山を呼びかけました。

手作りのキーホルダーには御嶽山の写真とともに命を守るための備えが記され、山びこの会では、これまでも浅間山や乗鞍岳などの登山口で啓発活動を行ってきました。

「山びこの会」事務局代表シャーロック英子さん:
「情報収集やヘルメットをかぶりましょうと呼びかけてまいりましたし、これからも呼びかけていきたいと思います」

27日は山頂で手向ける花を持って登る人の姿が目立ちました。

登山者は:
「気の毒だったからね本当に、お参りさせていただきたいと思って花を持ってきた」
「まだ見つかってない方もいますし、普通に登る感じでなく祈りも込めて登りたい」

2014年9月27日に発生した噴火では、58人が死亡し、5人が行方不明となり、戦後最悪の火山災害となりました。

慰霊碑が建つふもとの王滝村の公園では、追悼式が開かれました。

噴火発生の11時52分に合わせて、参列した遺族や地元の関係者などおよそ70人が黙とうし、犠牲になった人たちを悼みました。

遺族を代表して父・貞憲さんを亡くした兵庫県の松井登輝也さんが「お父さん、まだまだ一緒に過ごしたかったね。親孝行が全然できなくてごめんね」とあいさつし、消えない心の傷と向き合い、歩んできた10年を振り返りました。

松井登輝也さん:
「父の思いを、私が生きた教科書として伝えていくこと、また災害の教訓を伝承していくことが今後の私の務めだと思っています」

阿部守一長野県知事:
「火山防災先進県・長野県の実現のため、全力を尽くしていくことをここに固くお誓い申し上げます」

追悼式では、犠牲になった63人の名前が読み上げられ、参列者は献花台に白いキクを手向けて手を合わせました。

息子の真友さんを亡くした荒井寿雄さん:
「10年というのはあっという間だったなとつくづく思います」

夫の泉水さんを亡くした野口弘美さん:
「10年ははじめの頃は一日一日が長かったんですけど、振り返ってみるとゆっくりゆっくり動いていたんだなって」

義弟の啓二さんを亡くした寄能玲子さん:
「10年たっていなくなった寂しさは消えないんですけど、本人がいたところに立てた事が一番良かった」

息子の洋さんを亡くした近江屋勇蔵さん
「10年経っても変わらない、なかなか息子がいなくなったという気持ちは晴れないいつも思っている。涙とか汗とかこの近くにあるんだろう、その近くに来れることだけでもいい」