福島第一原子力発電所から放出される処理水をめぐり、中国側が日本産水産物の輸入を再開させることで日中両国が合意したことが明らかになりした。宮城県内の漁業者は、安堵しつつも引き続き風評被害対策を求めています。
岸田総理は、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長と電話で会談し、福島第一原発から放出される処理水の影響を監視するモニタリング態勢を拡充し、中国などの第三国が、海水や放出前の処理水を採取できるようにすることで合意しました。

これを受け岸田総理は、中国が去年8月以降、全面停止している日本産水産物の輸入について、中国側の安全基準に合致したものは再開させることを確認したと明らかにしました。

気仙沼市の漁業者:
「(再開は)良かったと思う。(処理水は)元々基準を下回っているのに、中国が一方的に輸入禁止し、福島の漁師が打撃を受けていると聞いていたので、これで一安心ではないが良かった」
南三陸町の漁業者:
「やっと理解してもらえた感じですね。我々とすれば明るい材料だなと、暗いトンネルの中から一筋の光が見えたような。皆困っていたものだから」
県漁協 寺沢春彦組合長:
「合意をしたことに関しては一歩前進、その部分は評価をするが、具体的な部分はまだまだ課題が残っていると思うので。風評被害の影響はまだまだ続くものと認識している。いわれのない風評、中国に対してのいろいろな思いがある。一歩前進はしたものの、喜んではいられないのが現状」

また、県漁協の寺沢組合長は、「コストが高くなっているのに水産物の価格は従来の半値以下。今後も消費拡大などに取り組みたい」と話しています。