土地取引の目安となる2024年度の基準地価が公表されました。
平均変動率は、2023年度上昇に転じた住宅地が再び下落となり、商業地も31年連続の下落となりました。

基準地価は、都道府県が7月1日時点の土地の価格を不動産鑑定士の評価を踏まえ判定するものです。
岩手県内の全33市町村の354地点で調査が行われました。
平均の変動率は住宅地がマイナス0.2%で2年ぶりの下落。
ここ数年の地価の上昇をけん引してきた矢巾・紫波エリアの住宅需要が落ち着いたことなどが理由です。
商業地もマイナス1.1%で31年連続の下落となりましたが、2023年度よりも下げ幅は縮小し1999年以降で最少でした。
住宅地は256地点のうち88地点で価格が上昇しました。

上昇率が最も高かったのは、盛岡市永井18地割の7.2%です。
JR岩手飯岡駅の改札口の改修で利便性が高まったほか、周辺ではきたぎんボールパークのオープン産業団地の計画など、開発意欲が旺盛なことが評価されました。

県内の住宅地で最も地価が高かったのは、去年に続いて盛岡市本宮3丁目で、1平方メートル当たり、10万2000円でした。
商業地は72地点のうち15地点で価格が上昇しました。
上昇率が最も高いのは、盛岡市盛岡駅前通の「明治安田生命盛岡駅前ビル」で6.3%でした。
この場所は33年連続で県内商業地の最も地価の高い地点でもあり、1平方メートルあたり28万9000円です。

盛岡駅前という立地条件の良さから周辺でホテル建設の土地取引が高値で行われたことなどが評価されました。

今後の見通しについて調査に携わった不動産鑑定士は、「沿岸や県北といった人口減少が顕著に進むエリアと内陸の都市部との格差が土地の価格にも表れる傾向は続くとし、新型コロナから人の動きは戻って来ているものの、物価高が経済回復の足かせになっている」と分析していました。