福岡市で路線バスと軽乗用車が衝突し、5歳と7歳の姉妹が死亡するいたましい事故が発生しました。警察によりますと姉妹はどちらもシートベルトを着用していたということですが、そのシートベルトが姉妹の体にダメージを与えた可能性が指摘されています。命を守るはずのシートベルトが命を奪う恐れ。そこには法律で定められたルールと実態のギャップがあります。

万一の事故のときに命を守るためのシートベルト。しかしJAF長崎支部によると、シートベルトの多くは《身長140センチ以上》を対象に設計されていて、140センチに満たない児童がそのまま着用した場合、衝突時にベルトが首や腹部に食い込むなど深刻なダメージを受ける恐れがあるといいます。

JAF長崎支部 中尾和幸さん:
「元々がシートベルト自体が設計上『鎖骨と骨盤』で支える作りをしているので、小さい子供などは『チャイルドシート』や『ジュニアシート』を使って高さを調整することが必要です」

身長を補う「ジュニアシート」の必要性を検証した衝突テストでは「ジュニアシート」を使用した場合、シートベルトが「鎖骨と骨盤」にかかり正しく衝撃を受け止めています。一方「ジュニアシート」未使用の場合、シートベルトが首や腹部を強く圧迫してしまいます。シートベルトが鎖骨と骨盤に当たる高さに調節する事がいかに重要かを示しています。

しかし、「チャイルドシート」や「ジュニアシート」の使用が法律で義務付けられているのは6歳未満とされていることに対し、シートベルトが正しく着用できる身長140センチを超えるのは平均10歳前後。使用義務がある年齢と大きな「差」があるのです。

「6歳未満」という年齢にとらわれず「身長140センチ」を基準にジュニアシートなどを正しく使用すること。子ども達の命を守るために求められます。