異例の”派閥なき”総裁選…自由度高い議員票に難しい「票読み」。候補者乱立まで?そもそも派閥と総裁選の関係とは?逆風の度に「選挙の顔」"擬似的政権交代"とは?気になる見どころを手作り解説でお伝えします。
“派閥なき”総裁選
派閥なき総裁選といわれますが、裏金事件の発覚まで自民党には、安倍派や麻生派、茂木派や岸田派など6つの派閥がありました。しかし今回は、麻生派を除く5つの派閥が解散を表明した中で行われる異例の総裁選。派閥単位での「票読み」が難しくなっているのです。
“女王バチと働きバチ”象徴的な「三角大福中」
従来の総裁選で自民党議員は、基本的にそれぞれが所属する派閥の方針に従って投票していました。自民党政治に詳しいジャーナリストの後藤謙次さんは、派閥のトップ「領袖」と所属議員の関係について、『一匹の女王バチのために巣を作る大勢の働きバチのような関係』だといいます。「派閥の領袖」を所属議員が一致団結して担ぎ、他の派閥と争って総裁ポストを取りに行くわけです。

象徴的だったのが、1970年代から80年代にかけて派閥を率いた、三木武夫・田中角栄・大平正芳・福田赳夫・中曽根康弘の“三角大福中”の時代です。各派閥が総裁を輩出するためしのぎを削り、自民党内での“疑似的な政権交代”にも例えられてきました。実際、この5人は全員、総裁選に勝利し、それぞれが総理大臣になっています。