北海道の演劇界の「レジェンド」として知られている舞台俳優・斎藤歩(あゆむ)さん。ステージ4のガンを患いながらも、舞台に立ち続けています。彼の「演劇人」としての生きざまが、そこにありました。

俳優・斎藤歩さん(59歳)「最近、報道で『余命宣告』って言葉がすごく先走り始めて、お医者からは半年ごとに言われてるんですよ、『余命半年です』って」

自身の余命を笑う男性。斎藤歩さん。59歳の舞台俳優です。

斎藤歩さん(59歳)「ご存じのように『末期がん』ということを言われてまして、今4種類目の抗がん剤の投与を毎月やっていて」

ステージ4の「がん」と診断されたのは、3年前。「このままだと余命半年」と宣告を受けたのは、2023年1月です。それでも舞台に立ち続ける斎藤さん。

この日は、朗読劇のシリーズ企画『「百年」を爪弾く』のリハーサルです。出演するのは、斎藤さんの妻であり、同じく俳優の西田薫さん。斎藤さんは、演出を担当します。


妻・西田薫さん「(ちょっと音楽聞かせて)それから数日後に、『一緒に死のう』と榊さんに言われた」

斎藤歩さん(59歳)「人間性っていうかなんて言うか、もう少し(読み方に)余裕があると良いんだけどね」

相手が妻であっても役者として向き合い、どんなことにも手を抜かない…、それが彼の「演劇人」としての流儀です。大学時代に演劇の世界に足を踏み入れてから40年。映画やドラマにも多数出演し、北海道の演劇界の「レジェンド」と呼ばれてきました。

舞台が終わった翌月、斎藤さんの姿は、病院にありました。

俳優・斎藤歩さん(59歳)「(前取材した時は)こんなに生えてないよね、や、そうなんだよ、あれから急激にさ、毛も生えてくるし、抗がん剤ってすごいね、急激に解き放たれた感じ」