周南市文化振興財団で発生した使途不明金について、財団の被害は、1億5千万円を超えることが7日、わかりました。
財団の調査によると、施設でコンサート等を担当していた被告の男(56)=詐欺罪で公判中=は、レジや金庫から金を盗んだり、プレイガイドから集金した金を横領したりして得た金を、自分の口座に移して競馬の掛け金などに充てていました。2005年から、レジや金庫内から現金を盗んでいたということです。口座の記録によると、10年以上もの間に2098回にわたって、コンビニATMから現金で入金。競馬関連の送金額の合計は2億6000万円にのぼる一方、競馬会などからの入金額の合計は1億2000万円にとどまっていて、約9年間での競馬の収支は、1億3861万円の赤字だったということです。
一方、会計・経理業務を担当していた被告の男(67)=有印私文書偽造・同行使の罪で公判中=は、現預金が会計帳簿に計上すべき金額よりも2000万円以上少なくなっていることに気づいていたにもかかわらず、財団に報告せず、事業資金の一時的な穴埋めのために預かり金を流用するなどした上、決算でも財務諸表に虚偽の資産有高を記載するなどして隠蔽しました。
2008年に、会計・経理担当の男は、コンサート担当の男と2人きりで面談し、コンサート担当の男は、金庫から現金を盗んで競馬に使っていることを認め、500万円を返還すると約束する誓約書を作りましたが、一円も返還することなく、さらに盗みや横領を繰り返したということです。
会計・経理担当の男は、資金の不足を補うため、財団の定期預金2000万円や職員の退職手当積立のための定期預金などを、了承なしに解約。損害発生の事実を隠蔽し続けました。また、資産を水増しするため、4月以降に振り込まれる周南市からの指定管理料などを預け入れ、定期預金の残高証明書を「3月31日」と書き換えて偽造し、虚偽の決算報告書や財務諸表を作成した上で会計監査を受け、県や周南市に提出したといいます。
会計・経理担当の男の行為が、被害の発生や拡大に大きく影響したことは明白と指摘しています。
周南市文化振興財団理事長・藤井律子市長は会見で「職員がギャンブルのために財団の現金を窃盗、横領する行為を繰り返し、別の職員がその職員の犯罪行為に気がついていながら、巧妙に不正を隠蔽し続けたものであり、その結果、当財団が多額の損害を被ったことは、誠に遺憾であり、まずは当財団を代表し、市民、関係の皆様に深くおわび申し上げたい」と述べ、謝罪しました。