戦争の体験を次世代に伝える語り部は、年月がたつにつれて減ってきています。

そのような中、語り部の思いをデジタルの力で未来に残そうという取り組みが進められています。



山口市にある県原爆被爆者支援センター・ゆだ苑では、2年半ほど前から語り部が話す様子を撮影して、ネットで配信しています。



ゆだ苑 八代拓 理事長
「日本社会の中でも戦争の記憶というのは急速に失われていっておりますし、戦争経験者もだんだんといなくなっております。そうした中でこの被爆経験を持つ人々の生の肉声を残し、そして情報として発信していくことは私は価値があると思っているんです」



県内で被爆者手帳を持つ人は1500人あまりで、2019年から900人減りました。

平均年齢は86.49歳と高齢化が進み、苑の語り部として活動する人は、今では20人弱になりました。

被爆者の思いを未来に残そうというこの取り組み、これまで30人弱を撮影したといいます。

ゆだ苑 坂本由香里 事務局長
「こういう風に記録に残すっていうのはとても大切だと思ってますので、できるかぎり続けていけたらと思ってます」



映像だけでなく、カセットテープの肉声をデジタルで残すことや、体験をつづった文章を集めて冊子にするといったことも進めています。

ゆだ苑 八代拓 理事長
「なぜ戦争が起きてしまうのか、いざ戦争が起きたときにどういうことが起きるのか、これを具体的に考えて、そして自分なりの意見を持つ、そういう若い世代の人たちをつくっていくことが私は重要だなという風に考えております」



終戦からまもなく79年。



未来の平和のために、薄れゆく過去の記憶の継承は大きな課題となっています。