西九州新幹線の開通を控えて、沿線の観光地では集客アップに向けてリニューアルを進めるなど期待が高まっています。その一方で、特急列車が減り生活への影響を心配する声も聞かれています。

開業まで1か月となった西九州新幹線。長崎駅と佐賀県の武雄温泉駅を結ぶ、69・6キロの区間で運行を開始します。武雄温泉駅で在来線の特急列車と乗り換える「リレー方式」を採用。博多から長崎までの所要時間は最短で1時間20分と、現在より30分ほど短縮されます
◆地元出身の新幹線運転士は

西九州新幹線の運転士を務める山口耕右さんは、地元・武雄市の出身です。列車に異常が発生した時の対応マニュアルを作るなど、開業に向けた準備を進めています。

武雄市出身の運転士 山口耕右さん「やっと西九州新幹線が開業して運転できる喜びがわいてきた。武雄市に新幹線が通るということで、とてもうれしい気持ちと、今以上に責任感を感じています」
◆観光業界では期待高まる

嬉野温泉街にある創業100年ほどの老舗旅館「大正屋」では、新幹線の開業に合わせて外壁や玄関をリニューアルしました。さらに、開業日に合わせた特別プランも用意し、おもてなしの準備を整えています。

大正屋 山口剛副社長「やっとの思いですね、ほんと待ち遠しかったです。まだまだお客様が戻っていない状況でございます。嬉野市民、大いに期待をしております」
県内有数の観光地である嬉野市には、現在鉄道は通っていません。新幹線の開業によって、福岡や関西方面からの観光客が増えることが期待されます。

大正屋 山口剛副社長「関西方面のお客様に、もっと“日本3大美肌の湯”の嬉野温泉をアピールして。きつい思いしましたので、お客様に来ていただいて、今からどんどん嬉野の発展につなげていけたらと」
また、西九州新幹線の開業効果を調べている九州経済調査協会は「観光地を巡るルートも変わる可能性がある」と言います。

九州経済調査協会 事業開発部 南源来研究員「長崎空港から入ってきて、新幹線を使って嬉野武雄方面に行って、それから熊本空港とか福岡空港に抜ける、新しい観光が今後可能性としてあるんじゃないかなと」
◆「生活列車」は大幅減便に

ただ、喜びの声だけではありません。佐賀県の肥前鹿島駅です。新幹線の開業によって並行在来線となるため、博多を結ぶ特急列車は1日45本程度から14本へと大幅に減便されます。地元の人からは生活への影響を心配する声が聞かれました。

タクシー運転手「かなり影響あるんじゃないですか」
地元住民「高校生の行き帰り(の便が)が減るのがちょっと心配だなと思いますけどね。高校生(の子供)が2人いるので」

また、武雄温泉駅から新鳥栖駅までの整備方式をめぐる議論も進展していません。国や長崎県は「すべての区間を新幹線として整備した場合、博多~長崎間の所要時間は51分まで縮まる」としています。しかし、佐賀県は「財政負担が強いられる割にメリットは小さい」としていて、反発しています。「リレー方式」による部分開業で、どこまで利用者を呼び込めるのか。様々な課題を残しながら1か月後、新たな新幹線が走り出します。














