若い世代に人気の音楽ユニット「YOASOBI」のヒット曲「夜に駆ける」のミュージックビデオを手掛けるなどいまを時めくミュージシャンから依頼が殺到するアニメーション作家・藍にいなさん。多くの人が魅了される、その世界に迫ります。
■「儚さ」「非日常」若い世代から支持される藍さんの世界観

7月、東京・銀座の書店に集まった人たち。そのお目当ては…
女性(20代)
「藍にいなさんのイラスト集の『羽化』を買いに来ました。実際に手に出来てうれしいです」

藍にいなさんの描く絵が、若い世代を中心に支持されています。
女性ファン(20歳)
「なんか“儚さ”」
女性ファン(20代)
「“幻の世界”にいる」
男性ファン(20歳)
「“非日常”を少し味わえる」
■YOASOBI、山下達郎…名曲を映像で形に

イラストレーターやアニメーション作家として活躍する藍にいなさん。人気のきっかけとなったのが、YOASOBIのデビュー曲「夜に駆ける」でした。藍さんが手がけたミュージックビデオは累計再生数2億回を超える大ヒットとなっています。
その表現力についてYOASOBIのメンバー2人に聞きました。
国山ハセンキャスター
「作品をご覧になったときにどんな最初印象を受けました?」
YOASOBI ikuraさん
「驚いたというか圧倒されたというか。主人公であったりその時代であったり、色んなものの背景を汲み取った上での出てくる登場人物の心情を形にするのが本当に素敵な方だなっていうふうに思っていて」
YOASOBI Ayaseさん
「具体的に表現するのが難しい感情だったりをちゃんとアートとして前に出すことができる。間違いなくこのミュージックビデオが『夜に駆ける』においてのベストだなと思いました」

藍さんの実力は、J-POPのレジェンドも認めています。1991年に発表された山下達郎さんの「さよなら夏の日」。これまで制作されてこなかったミュージックビデオですが、発売から30年の時を経て、藍さんの手によって映像化されました。
■大事にしているのは“違和感” 「意外性を大事に」

国山キャスター
「ご自身ではアーティストやファンに刺さる理由をどういうふうに分析されていますか」
藍にいなさん
「やっぱりその“違和感”みたいなものは基本大事にしていて、常に見たことがないエッセンスを入れるというのを意識していますね」

そのエッセンスの1つが“色彩”です。
藍にいなさん
「そもそもの固有色みたいなものは1回考えないようにしようって思っていて。シンプルに、この絵だったら水色を入れたいっていう風に。どこにそれを配色していくと面白いかなというところで、肌を水色にしてみようっていう」

色彩に加えて、世界観も独特です。
マカロニえんぴつの「好きだった(はずだった)」のミュージックビデオでは、生活の中に、実在しない大きな生き物が描かれています。
藍にいなさん
「何かそこのちぐはぐ感だったり、やっぱり意外性みたいなものを毎回大事にしていますね。どこか意識には残ると思うので」