香川県の水産試験場が世界で初めて成功したという、完全養殖したイイダコです。宇多津町沖でその放流が行われました。漁獲量の減少が深刻化する中、県と漁業者が資源の回復を目指しています。

(小寺健太記者)
「今回放流されるのが1円玉サイズの、こちらのイイダコです、水産資源を回復させようという取り組みです」

ふ化して約1か月ほどのイイダコの赤ちゃんです。完全養殖の42匹を含む2000匹が宇多津町の北浦漁港に用意されました。完全養殖とは、昨年、試験場で生まれたタコをさらに人工繁殖させたもので、成功したのは、世界で初めてだといいます。
香川県でのイイダコの漁獲量は、2002年には199トンほどありましたが、その量は減少の一途を辿り、去年1.7トンまで減少しています。

深刻化する資源の減少に歯止めをかけようと、地元の漁業者の協力のもと、専用の網を使って水深約5メートルの場所にイイダコの赤ちゃんが放流されました。
(中讃地区底曳網協議会 丸本裕司会長)
「イイダコはピラミッドでいうと底辺なんです。イイダコだけでなくイイダコをえさにする魚も増えてくれたらなと」
(香川県水産試験場 中山博志さん)
「完全養殖については大成功というわけではないが、第一歩進んだということで、さらにこの技術を進めていって効率的な生産につなげていきたい」
放流したイイダコは、秋ごろには10センチほどまで成長するということです。県は今後も完全養殖の研究を重ね、漁獲量の回復を目指します。