周南公立大学レスリング部(山口県周南市)に注目します。5月に開かれた西日本学生春季リーグ戦で優勝し、前身の徳山大学時代から合わせて6連覇を果たしました。その強さの秘密はどこにあるのか、取材しました。

マットの上でぶつかり合う体と体。周南公立大学レスリング部は5月、西日本の大学が出場する学生春季リーグで優勝。春と秋にあるリーグ戦で2021年秋から6連覇という、圧倒的な強さを誇っています。

周南公立大学・レスリング部 守田泰弘監督
「ゴーチャンス!そこ狙えそこ狙え」

監督を務めるのは守田泰弘さん、37歳。下松市出身で、名門・日本体育大学を卒業後、国体で3度優勝を果たすなど、国内トップレベルの選手として活躍しました。2018年、30歳の時に父のあとを継いで周南公立大学レスリング部の監督に就任。

選手時代とは違う、教える立場の難しさを日々感じながら、試行錯誤して強いチームを作り上げてきました。

守田泰弘 監督
「まあ正解がないというか。そのたびそのたびに学生と向き合ってやっていくというところが、今7年目を迎えますけれども、個人的な解なのかなと思っている」

週6日の練習では、監督みずから選手の相手をして汗を流します。現在の部員は24人。およそ7割が県外出身です。兵庫県出身の春風飛翼選手と、静岡県出身の佐野龍虎選手。上半身だけを使って戦うグレコローマンスタイルを得意としています。2人は4月、神奈川県で開かれたジュニアオリンピックカップで準優勝。今月16日からタイで開かれるU20アジア選手権への切符を手にしました。全国大会で表彰台に上ったのは初めてだという2人。縁もゆかりもない山口県でレスリングを続けようと思ったのには、守田監督の存在がありました。

春風飛翼選手(2年)
「僕にとっては太陽だと思います。的確なアドバイスをされたり、引っ張っていってくださるのもありますし、高校3年生の時に周南公立大に誘ってくださって、今の僕があるので」

守田監督のモットーは「自分で考えるレスリング」。試合での戦い方や練習の内容だけでなく、食事などの生活面も選手自身が考えて行動できる人になってほしいと、指導にあたっています。

守田監督
「私もレスリングを通して、いろいろ成長させてもらったとか、経験させてもらえたっていうところは、レスリング競技に対する恩返しだと思ってますので、そういった意味でレスリングを通して、もちろん結果も残してほしいですけど、やっぱり人間として成長してほしいっていうのがあります」

その思いは、選手たちにも伝わっています。

佐野龍虎選手(1年)
「レスリングに対する姿勢が変わったと思います。生活面とか、けがのケアのしかたとか。高校の時はあまり気にせずにやっていたんですけど、大学になってから周りの先輩方や同級生もそういうことを気にして練習に臨んでたので、自分も気にし始めました」

体1つで戦うレスリングは、自分との戦いでもあります。選手1人1人が自分で考えて動けるようになったからこそ、リーグ6連覇がありました。しかし、満足はしていません。

守田監督
「6連覇というのは1つの形として見えるものとして輝かしいように見えるんですけど、これは私がこちらに来た当初から、全国で勝てるチーム、勝てる競技者の育成っていうところは1つ念頭に置いてましたので」

チームで戦う西日本リーグでは、圧倒的な強さ。しかし、個人ではあと一歩のところで全国優勝を逃しています。個人でもチームでも、さらに上、表彰台の頂点を取りにいきます。