県内の優れたものや取り組みに迫るキラリ逸品。今回は、津軽地方でお盆のお供え物として親しまれている「バナナ最中」です。弘前市の和菓子店で誕生して100年あまり。変らぬ味と愛され続ける理由に迫ります。

小麦色の皮に黄色いあん、丸みを帯びた素朴なデザインが特徴の津軽の銘菓、「バナナ最中」です。

※五月女舞香アナ
「(一口食べて)うん!/サクッと軽い皮のなかに餡がぎっしり詰まってます。この餡からバナナの香りがふわっと広がりますね。とっても上品で素朴な味です。」

バナナ最中

弘前市にある明治38年・1905年創業の老舗和菓子店「いなみや菓子店」のバナナ最中は、今から106年前の1916年に誕生して以来、彼岸やお盆のお供え物をはじめ、土産物としても親しまれてきました。

1905年創業 いなみや菓子店(弘前市)
津軽の銘菓「バナナ最中」

※買いに来た人
「母も大好きで、よく頼まれます老舗の味だと思っています。」

かつては高級品で庶民の手に届かなったバナナ。初代店主が大阪に旅行した際の体験が、バナナ最中誕生のきっかけでした。

※いなみや菓子店3代目 稲見茂男さん
「汽車の中でバナナを食べている人がいて、汽車に充満するバナナの香りに魅了されて、ぜひ弘前市に帰って弘前市民が手軽に、本物のバナナは食べられないけど、お菓子として食べてもらいたいと」

いなみや菓子店 3代目 稲見茂男さん

昔も今も、中にバナナは一切入っていません。バナナの香料を混ぜ込んだ滑らかな白あんを、そば打ちの器を使って、手作業でこねていきます。発売当時から一切変わらない製法です。

※稲見さん
「手でこねる良いところはきょうの餡子の塩梅は柔らかいな、固いなというのを肌で感じることが出来る。/ミキサーで回しちゃうと肌で感じることが出来ない。」

いなみや菓子店では、あんの盛り方にも工夫が施されています。

※稲見さん「(あんを)付けるじゃないですか。真ん中を盛り上げるようにつけるんですよ。」「ふっくらなるようにして合わせると…もっていただければ分かる。」

※五月女アナ「ふっくらしている、肉厚な感じがしますね。」

※稲見さん「それがもしかしたら他のお店とは違うかもしれない。これがうちのある意味売りかな。ボリュームあるバナナと、父親が言うには痩せたバナナ。」

餡は手でこねます
たっぷりの餡がはいります
おいしさの秘密は餡の盛り方…

手に取った人に少しでも幸せな気持ちになってほしい。そうした思いで受け継がれてきたバナナ最中は、店で修行した人たちが他の菓子店に広めたことで、今では津軽地方を代表する銘菓となりました。稲見さんは、客が求め続ける限り形も味も包装も、昔のまま、変わらないものを作り続けたいと話します。

※いなみ菓子店3代目 稲見茂男さん
「この地域の風土菓子になっていますので/これからもバナナ最中に関しては変えるつもりはございません。」

100年以上変わらず、発売当初の思いを詰め込んだバナナ最中。地域の人々に愛され続ける逸品です。

長きにわたり愛され続ける味