体の動きが止まったり意識を失ったり…。突然、さまざまな発作が起きる病気「てんかん」。発作を抑えるために患者は毎日欠かさず薬を飲んでいます。しかしいま、その薬が不足しています。困惑する医療現場と患者たちの声を取材しました。

小矢部市の障害者福祉施設、てんかんへの理解を深める研修会が開かれました。

本間一正 医師:
「今、突然発作を起こします。私がね…」


「これ、もうちょっと長く続くんですけど、3~4分。本人に意識がないまま、なんとなくこの辺も服をまさぐったりとか…。場合によっては戸を空けて出ていっちゃったり。これがてんかん発作なんです」

本間医師が自ら再現したのはてんかん発作の症状です。

てんかんとは脳の神経細胞が過剰に興奮することで、さまざまな発作が起きる病気です。

数秒間、意識がなくなり動きが止まる発作や、突然意識を失い、けいれんがはじまる発作…。意識はあるものの勝手に身体が動いてしまうものなどさまざまです。100人に1人の割合で発症するとされている身近な病気です。

参加した男性職員:
「うちの事業所の中にも28人のうち4人いらっしゃる。暑くなったりすると毎日のように(発作が)あったり…」

女性職員:
「食事中に座ったまま発作になりまして安静な状態に保って様子をみました」

発作を抑えるため、患者が毎日欠かさず飲むのが、抗てんかん薬です。



本間一正 医師:
「抗てんかん薬は、1日も休んじゃいけない薬です。常に血液中の(薬の)濃度を一定に保っておく必要があるので、休んじゃうと血液中の濃度が下がり、そこで発作が起きる。何年も発作が起きてない人でも、1日くらいいいかというわけにはいかない」

抗てんかん薬は、患者の症状に効果がある薬が見つかるまで何度も通院が必要で時間がかかります。また一度、薬が見つかれば患者は何年もその薬を飲み続けます。

本間一正 医師:
「たとえば赤ちゃんのときから見てる、今、30歳になっている人とかいるわけです。この方は2008年から発作が止まっていますが、薬をやめられない」

てんかん患者にとって欠かすことのできない「抗てんかん薬」がいま、危機を迎えています。

本間一正 医師:
「(非常に困っています)いま、国内で一番よく使われているのが、先発薬のデパケンRという薬になります。後発品が全て足りなくて、先発薬にもしわ寄せがきている状況…今もう本当に綱渡り状態でやっています」