空き家と知人男性の住宅のふすまや敷居などに火をつけた、放火の罪に問われている男の裁判員裁判で高知地裁は、男に執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。

判決によりますと、高知市長浜の作業員、田村優斗(たむら・ゆうと)被告(30)は2023年、空き家と知人男性の住宅で、ふすまなどの近くにトイレットペーパーをおいてライターで火を放ち、建物に燃え移らせて一部を焼損させた罪が認められました。

裁判では、責任能力の程度などが争点になっていて、検察官は、懲役5年を求刑、弁護人は執行猶予付きの判決を求めていました。

29日の裁判で高知地裁の稲田康史(いなだ・やすし)裁判長は、火が燃え上がった際に自ら消火をするなど生み出した状況に対して本人なりに適切に対応している点や、犯行後に母親らに対して放火行為を否定するような説明をしている点から「行動責任能力などが著しく欠けた状態ではない」として、完全責任能力が認められると指摘。

一方で、被害が相当額弁償されていることや、田村被告の更生支援計画が策定されていることなどを考慮して、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。