求められるのは質の高さとオリジナリティの封印

山本信幸総棟梁
「技術力も一つですよね。あと復元はあまり我を出すとよくない。そのあたりを対応して頂けるので、ぴったりかなと思って」

隣接する富山県の井波彫刻を学ぶなかで知り合った良一さんと美央さん。独立後はそれぞれが、個性的な作品を発表してきました。

彫刻師を生業とする上で、最も大切な要素である“オリジナリティ”。これを如何に封印できるかが、今回の再建作業には求められます。

再建に参加したことで、琉球王朝時代に思いを馳せる機会もあったといいます。

鈴木良一さん
「これ桜島ですよ」
Q実際に行かれた?
「この船に乗りました」

去年は他の箇所の彫刻作業をするため、3度来沖。移動は鹿児島港までは車で。あえてフェリーで首里城に向かいました。

Qあえてフェリーで行く理由は?)

鈴木良一さん
「目的は海やなぁ。海の綺麗さやなぁ。(船から見ると)琉球という名前が付いた意味が分かる。海が宝石みたい、本当に。ちょうど那覇港に着くのは午後7時。向こうからキラキラ光る那覇の夜景が見えてくるんですね。あれ見ると本当に琉球だっていう感じがします」

大航海時代の琉球に思いを馳せて。踏み入れた再建現場で見たのは、職人魂を揺さぶられる光景でした。

鈴木良一さん
「前の首里城に関わられた方が何人もいらして。自分の人生をかけてやってきている方がいっぱいいらっしゃって」
鈴木美央さん
「職人の魂みたいなものがいっぱいあって。自分達もそれにつられるというか。楽しかった。仕事するのが楽しかった」

鈴木良一さん
「まだまだ道半ばですからね。とにかくいま無事やり切ることが目標ですね」

彫刻家としてのオリジナリティは封印しても、特別な情熱を持って、来月中の仕上げを目指します。