自身が採用された後に合併した学校法人が運営する、遠方の系列校への転勤を命じられた男性が、命令の無効を求めている裁判の控訴審で、21日、福岡高裁は「労働契約上の義務がない」として、転勤命令を無効とした1審判決を支持し控訴を棄却しました。
◆福岡の学校に就職したのに…福島の系列校への転勤命令は無効
この裁判は、福岡県北九州市戸畑区の明治学園で数学教師として勤務していた永井隆司さんが、学園を吸収合併した福島県の学校法人から福島市の系列校に転勤するよう命令を受け、この命令を無効とすることを求めたものです。判決文によりますと、永井さんは1993年から明治学園で数学教師として勤務。2017年に「職務能力不足」を理由に解雇を通告されましたが、解雇無効を求める訴えを起こし、2021年に勝訴が確定しました。しかしその後も職場復帰は認められず、学校の敷地内への立ち入りも禁止されていました。そして、系列校の数学科に欠員が出たことを理由に福島市に転勤することを命じられたということです。
◆1審では「権利の濫用」として命令を無効とする判決
1審の福岡地裁小倉支部は「配置転換命令は不当な動機・目的をもってなされたことが強く疑われる、権利の濫用」と指摘。福島の学校に勤務すべき労働契約上の義務がないとして、配置転換命令は無効とする判決を言い渡し、明治学園側が控訴していました。
◆解雇めぐり対立する男性を排除しようとする“不当な動機”
21日の控訴審判決で福岡高裁は、転勤の命令を無効とした1審判決を支持し、明治学園側の控訴を棄却しました。判決では、福島市の学校に欠員が生じたとしても、「男性以外の教員を移動の候補者とすることを検討したとは認められない」と指摘。「解雇をめぐって対立していた男性を学校から排除するとの不当な動機・意図に基づいて本件配置命令をしたものと推認され、権利を濫用したものとして無効というべきである」との判断を示しました。
◆「1日も早く戻してほしい…」教諭の男性、学校に対して
判決後、報道陣の取材に応じた永井隆司さんは、「私は明治学園の卒業生であり20年以上教壇に立ち子供たちと接してきた。その環境に1日も早く戻してほしい」と話しました。
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