大学進学を目指し、「学ぶことが生きがいで今が一番楽しい」と、74歳になった今もなお勉強に励む男性に密着しました。

山梨県笛吹市のモモの畑で作業を行う男性。

笛吹市で農家を営む中澤宣次さん 山梨県・笛吹市

市内に住む農家の中澤宣次さん(74)です。

モモの収穫が間近となり毎日作業に追われていますが、土曜日になると軽トラックに乗り込みある場所へ向かいます。



記者:
楽しみですか?

中澤宣次さん:
そりゃあ生きがいになってるからね。毎日生きているなという感じ。


甲府市内ビルの4階まで歩いて上がり到着したのは、「みらい学校自主夜間中学校」です。

 みらい学校自主夜間中学校 山梨県 甲府市

中澤さんはこの学校が開校した約4年前から生徒として通っています。

先生:やっぱり読みが良いですね。「響く」はこれです。

中澤さん:あ、そっちの方なんですか。反響の「響」ね。


中澤さん:
学生に戻ったような感じで充実していますね、やっぱりね。

みらい学校自主夜間中学校 宮川真有校長:
やる気にあふれているので、こっちが教わることが多いなと感じます。プラスの言葉が増えてきて自信がついてきたなと思います。

みらい学校自主夜間中学校 宮川真有校長


夜間中学校は家庭の事情や不登校などで十分な教育を受けられなかった人たちの学びの場になっています。

夜間中学校は様々な事情で教育を受けられなかった人たちの学びの場


コロナ禍の今、月に2,3回、土曜日の夜に1時間ほど開かれています。

中学卒業程度の学力をつけることが主な目的とされ、中澤さんはここで学び直しをしているのです。


中澤さん:
特に小学校の時に、途中で(勉強が)わからなくなった時に聞ける人が居るかというと、誰も居なかったんです。わからなくてそのままにしておくと先へ進んでも全然わからなくなる。

当時は実家の農業や養豚の手伝いにも追われて学校を休むこともあり、充分に勉強する機会がなかったと話す中澤さん。

高校卒業まで授業はほとんど理解できず、そのまま就職したといいます。

中澤さん:
なにもわからなくて学校に通っていると、これは苦しいですよ。
学校を卒業した後からでも、学力が世の中には必要だな思って。後悔はずっとある。


社会に出てからは自分の学力にコンプレックスがあり、70歳になった時に夜間中学校の存在を知り、すぐ入学することを決めました。

中澤さん:
勉強しとけば良かったというのは当然そうなんだけど、その時の時間は取り戻せないから。しかし今その分先生に教えてもらって幸せ。人生の中で一番楽しいです。