プロバスケットボールBリーグ2部の青森ワッツを運営する青森スポーツクリエイション(ASC)が2日、青森市内で会見し、同社の筆頭株主が経営破たんしたことに伴うクラブ経営への影響について「最悪の場合は今期中にチーム解散・倒産の可能性がある」と説明しました。その上で、クラブの経営破綻を回避するために約5000万円の資金調達を目指すとともに、B2ライセンスの取り消しや2024ー2025シーズンのライセンス不交付を回避するために約3800万円の債務超過の解消などを図るとしました。

青森ワッツの運営会社のASCは2月28日に、筆頭株主である「ANEWHoldings株式会社」が東京地方裁判所から2月22日付で破産手続きの開始決定を受けたと発表。ASCはこれに伴う影響について「関係各所と連絡を取り合い、早急に安定的な運営ができる体制を整えるための取り組みを既に行っております」と説明し、詳細については、2日の会見後に説明するとしていました。
ASCは会見で、今期決算の黒字化は達成見込みと説明しました。一方で昨年度末までの債務超過額3800万円を今期中に解消する必要があるとし、来年度に向けた安定経営のための資金調達計画と損益計画が今後必要となるとしています。増資の実施のためには株主の変更が必要なため、破産管財人と調整を進めた上で、新たな株主の引受人(オーナー)の獲得を目指していくとしています。
また新株主の獲得(増資)が進まない場合に備えて、売上の増加や融資・寄付などを受ける必要があるが、既存株主の問題が解決されない限り金融機関からの融資は難しく、売上の増加や融資・寄付が受けられない場合は買掛金や給与の未払いの可能性があることなどに触れ、最悪の場合今期中にチーム解散・倒産の可能性があると言及しました。
またクラブの財政難等の事情により公式試合の運営に支障を来たす事態の発生を未然に防止するためにBリーグが設けている「公式試合安定開催融資制度」の活用については、クラブの存続が保証されるわけではなく、制度の実行に伴い勝ち星5が減る制裁となりプレーオフの出場が困難になるため、自力での立て直しを目指すとしています。
※青森スポーツクリエイション・藤永裕二会長 冒頭発言

「きょうお伝えすることはワーストケースも含めて私たちの現状、位置づけがどこにあるのかをしっかりお伝えする。その上でワーストケースにいるところからしっかりと上っていく、這い上がっていく。そこを含めて広く皆様にご協力していただきたい。多くの人に来場していただく、たくさん物を買っていただいたり、寄付であったりそうしたことを含めてご協力いただきたい」
※青森スポーツクリエイション・北谷稔行社長 コメント

「たくさんのブースターに心配をかけていることについては本当に申し訳なく、信頼を取り戻すようにしたい。青森県にワッツは絶対必要だと思うし、私もワッツに夢を与えてもらい勇気をたくさんもらった。それを多くの方に、まだまだ今も夢を与えているが、多くの方にもっともっと夢を与えたい。あらゆる視点あらゆる方法で色々ないい道を探っている。県民の皆様・県内の企業様、ご協力をお願いします」
ASCは同社が赤字経営になっていた理由について、昨季の実績とともに紹介。販売管理費(会社運営に必要な経費)はB2の14チーム中13番目、売上高は最下位だったと説明しました。

青森ワッツは2012年に青森県初のプロスポーツチームとして誕生。初代ヘッドコーチは元日本代表の棟方公寿氏。昨季はBリーグ発足後初のプレーオフ(PO)に進出し、今季も現在24勝20敗で勝ち越していて、2年連続のPO進出を目指している。2日の会見前に行われた福島ファイヤーボンズ戦は92対84で下し、3連勝とした。