出生数も増加、新たな分譲宅地整備も
町の昨年度の「社会増」「転入超過」は17人。数字自体、大きくはありませんが、阿武町の人口は3000人あまり。町発足の1955年以降最大の「社会増」なんです。2016年度以降、6年連続で1桁が続いていた出生数も、昨年度は12人。今年度は15人となる見込みです。
町は、2018年度に分譲宅地、29区画を整備。26区画がすでに売れました。今後新たな分譲宅地を整備する方針です。
社会増の先に見えてきた課題とは?
着実に成果を上げているように見える阿武町ですが見えてきた課題もあるそうです。
花田町長
「保育園に行きたいと言われた時に保育士の人数が不足する可能性が高い。ですから今保育士についてはいつまでも探し続けているような状況です」
保育士の配置基準は国が定めています。保育士1人で受け持てる園児数は0歳児が3人、1、2歳児が6人、3歳児が20人。4、5歳児は現在30人ですが新年度から25人に見直されます。子育て支援の充実に懸命なのは県も同様です。9月をめどに第2子以降の3歳未満の子どもの保育料を無償化します。これにより保育園の利用を希望する人が全県で増える可能性があります。
花田町長
「他の市町も3歳未満の保育料の無償化をやりだすと保育士の争奪合戦になる可能性があります。今でもそういう面があるんですよね」
ほかにも対処しなければならない課題があります。町内に医療機関は開業医が1、町の診療所が1の合わせて2つしかありません。
花田町長
「この地域に最終的には公設民営か公設公営かは分からないけども新たな診療所、病院を作る必要がある。それが最大の課題です」
子育て支援を中心に「社会増」を果たした阿武町。山あいの小さな町は「社会増」のその先の課題に知恵を絞り始めています。阿武町は子育て支援を充実させることで社会増を実現しました。
山口県も子育て支援を充実へ
当然、県も予算案で充実をうたっていて、2024年度から第2子以降の3歳未満の子どもの保育料無償化。また、保育所の3歳未満のクラスに国の基準を上回る保育士を配置できるよう補助制度を創設するほか、県内外で保育士を養成する課程で学ぶ学生に修学資金などの返還が最大で160万円免除される制度も創設します。
県は昨年度1945人だった社会減(転出と転入の差)を2030年までに0にしたいとしています。子育て支援の充実は少子化対策であるとともに、子育て世代に魅力的なまちづくりにもなります。成果は求められますが、一朝一夕に成果が現れるものでもなく、山口県にとって向き合い続けなければならない課題といえます。