今、熱い視線が熊本に注がれています。世界ナンバー1の半導体メーカー台湾のTSMCが巨大工場をあすオープンします。かつて頂点を極めた日本の半導体産業は復活できるのか。そのカギは日本人の元技術者たちが握っていました。
きのう、熊本空港。私たちJNNのカメラは世界が注目するその人物を見つけました。カメラに向け手を挙げたこの男性こそ、半導体生産の世界ナンバー1「TSMC」のトップ・劉徳音会長です。
「(Q.劉会長、今どういう心境ですか?)・・・」
世界の半導体価格の決定権を握るとも言われるTSMC。日本政府からの熱烈な誘致と、建設予定の第2工場もあわせ総額1兆2000億円もの巨額補助金を受け、あす熊本の工場をスタートします。
記者
「熊本工場では、開所式をあすに控え、準備が着々と進められています」
TSMCの工場建設で熊本の地価ははね上がっています。早速、熊本に家を購入したという人も。
台湾便の搭乗者
「TSMCが熊本に進出すると聞いて、今後発展していくだろうと思いました。熊本に理想の家が買えて大変満足です」
地価は3割上昇。2030年までの経済波及効果は10兆円を超えるという試算も。
半導体で盛り上がる熊本。そもそも半導体とは何なのか?
記者
「最新の電気自動車1台の中には、こんなにも半導体が入っています」
三洋貿易 産業資材第二事業部 光部亮人さん
「黒いものも半導体。それ以外の一つ一つ素子自体も半導体」
車もスマートフォンも中身は半導体だらけです。半導体がないとモノが作れない時代になっているのです。
共同研究などにより、台湾TSMCとのパイプ役を務めてきたのは、元々東芝の半導体技術者だった東京大学大学院の黒田教授です。
東京大学大学院 黒田忠広 教授(元東芝)
「日本は資本競争のレースから立ち止まったことにより、いったんは脱落した。これまでの失敗の原因を分析して、同じ失敗を繰り返さない」
1988年時点では半導体のシェアの半分以上を日本が占めていましたが、日米摩擦などを経て、海外勢に完全に逆転されています。
日本はリベンジを目指しています。最大の壁は人材不足です。
東京大学大学院 黒田忠広 教授(元東芝)
「半導体人材は今、世界的に足りていません。限られた人材、同じパイをみんなで取り合っていたのではとても足りない」
人材不足を打開するため、もう1人、日本人の元エンジニアが熊本で新たな取り組みを始めています。
学生
「この段差が…」
鈴木教授
「段差のところをもう少し押し込んだ方がよい」
学生を指導するのは熊本大学の鈴木特任教授です。ソニーの半導体部門で35年間勤務。熊本工場長も務めました。
熊本大学では、この4月に国内で初めて半導体の技術者育成に特化した新たな学科を立ち上げます。
熊本大学工学部 鈴木裕巳 特任教授(元ソニー)
「二の舞にならないよう今回を良いチャンスに変え、産業としてもう一度柱になるようにしていく」
熊本大学の大学院生
「早い段階で半導体業界の発展に貢献できたらと」
頂点を極め衰退した日本の半導体。元エンジニアたちは日本のラストチャンスだといいます。
熊本大学工学部 鈴木裕巳 特任教授(元ソニー)
「チャンスとしても最後ですし、私個人としても最後かなと」
東京大学大学院 黒田忠広 教授(元東芝)
「私たちの先輩が努力を積み重ねてきて、冬があって、その上に今度また春が来る。いろんな方々の努力があったことは忘れてはいけません」
台湾企業を誘致し、再び日本の半導体産業をリードしてくれる人材を。ここからリベンジを目指します。
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