お笑いコンビ、オリエンタルラジオの中田敦彦氏(43)が、金融・経済メディア「TBS CROSS DIG with Bloomberg」の番組に出演。番組は1月30日に配信された。

生成AIを用いた動画制作の裏側や、登録者数550万人を超えるYouTuberとしての自身の現在地、そしてこれまでの活動から見出した「老害」の定義や引き際、さらには人生後半戦の生き方について、冷静な分析と危機感を語った。

中田氏は、生成AIなど技術の変化のスピードの速さに触れて、あくまで自らへの戒めとして自分が「老害」になることへの危機感を露わにしたうえで、数年以内にYouTubeなどの発信を縮小する可能性と、それが人生を豊かにする考え方を明らかにした。

中田氏のYouTubeチャンネルは2018年に開設され、登録者数が550万人を超える。

ニュースや歴史のほか、ビジネス本の解説なども行われ、芸能人がYouTube番組を立ち上げたり、YouTubeで多くの人たちが情報を仕入れたりするようになった時代の象徴的なチャンネルとも言われる。

中田氏は番組内で、自らが生成AIをつかって制作した短編映画を見せた。

「1週間、寝る時間以外ずっとやってました。夢中になっちゃうし、楽しくて」

画像生成AIや動画生成AIを組み合わせて、基本的には1人で作り切ったが、最新技術に触れたことで自身の限界にも気づいた。

AIへの指示(プロンプト)出しにおいて、自身の発想の源泉が1990年代〜2000年代前後のコンテンツに偏っていることに気づき、「自分のOSが更新されていないことを、まざまざと感じた。私の旬はおそらく過ぎ去ろうとしている」と冷静に分析した。

中田氏の短編映画は政治のタブーに、謎のダークヒーロー『ZERO』が切り込むという社会風刺サスペンスだ。視聴回数は現行のシリーズ2本あわせて計42万回(2026年1月時点)にのぼり、コメント欄でも「AI映画でここまでできるのか」と技術の進化に驚く声が広がっている。

「かつて音楽ユニットRADIO FISHでMVを制作した際に比べ、コストは10分の1から100分の1になる」

中田氏は技術革新によって、多くの人が高品質な映像を作ることができるようになる時代を予測した。

番組での議論は「老害」へと展開した。中田氏は老害の定義について、「単に年を取った人ではない」と強調した。

年齢差別という意味ではなく、あくまで自分自身に対する戒めの言葉だという。「実績と影響力があるリーダーが、時代の感覚からズレているにも関わらず、その座に居座り続けることこそが老害の本質なのではないか」と自分もいつかそうなるという恐怖とともに語った。

「実績があるからこそ周囲は否定できず、組織において長く支配的な立場にある。しかし、感覚はズレている。これが一番危険だ」

自身の現状について、中田氏は自動車の運転に例えて説明した。登録者550万人という巨大なメディアを持つ中田氏は、いわば「2トントラック」を運転している状態にあるという。

「このまま影響力を持ち続けることは、もう適切な運転ができないのに、大きな車を運転しているようなもの。美学の問題ではなく、事故は社会的に防がなければならない」として、自身も影響力を手放すべき時期が来ていると語った。

具体的な「引き際」については、「あと数年で”返納”しないと危ない」と明言。

ジャンルを変える(乗り換える)だけでは影響力を行使し続けてしまうため、段階的に発信活動を減らし、最終的には乗り物を降りて「徒歩」、つまり情報の「受信者(消費者)」へと戻る覚悟を示した。この価値観を持つことが、燃え尽きないための必要な条件だと語った。

今後の人生観については、起業家や投資家などに読まれているビジネス書籍『DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)』(ビル・パーキンス著、ダイヤモンド社)の考えに触れて、「仕事だけが人生ではない」と語った。

常に時代の半歩先を読み、テレビからYouTube、そしてシンガポール移住へと転身をしてきた中田氏。生成AI時代の到来と共に自らに課した「免許返納」という決断は、番組内で赤裸々に語られ、話題を呼びそうだ。

中田氏が出演したインタビューの模様は、YouTubeチャンネルTBS CROSS DIG with Bloombergの「FUTURECARD」で公開されている。