米中首脳会談が行われた韓国には北京支局長の立山記者がいます。中国としてはどのような成果があったのでしょうか。

習近平国家主席からしますと、はじめから成功が約束された会談だったと言えると思います。これまで5回にわたり閣僚が事前に協議し、ほぼおぜん立てが終わっていたためです。

しかも、レアアースの輸出規制を武器に終始交渉を有利に進めてきた中国としては、今回、100%の追加関税を回避したほか、合成麻薬「フェンタニル」流入を理由に課されていた20%の追加関税も10%に引き下げさせるなど対立を一時緩和させることができました。

そのうえ、中国が最も重視している「台湾」問題について、アメリカに言及させなかったのは大きな得点でした。トランプ大統領は今回、台湾問題について「まったく話題にならなかった」と話しています。中国としてはアメリカが台湾への関与を強めることが一番嫌なわけで、それを回避できたのは大きな成果と言えそうです。

会談で習主席は「中国の発展とトランプ大統領の『アメリカを再び偉大にする』という目標は矛盾しない」と述べました。

中国としては今回の会談で得られたひと時のアメリカとの安定した関係を少しでも長続きさせ、国内問題に集中したいという思いもありそうです。