(ブルームバーグ):国内最大の自動車関連の展示会「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」のプレスデーが東京都内で29日に始まった。トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、中国の電気自動車(EV)メーカー比亜迪(BYD)など国内外の自動車メーカーが、新型車や今後のデザイン・技術の方向性を示すコンセプト車などを発表する。
日本の自動車メーカーでつくる日本自動車工業会が主催する同イベントには、今回過去最多となる500社以上の企業・団体が参加する見通し。米国の自動車関税引き上げなど自動車業界を取り巻く環境に不透明感もある中、30日の開幕を前に記者会見に登壇する各社のトップの発言に注目が集まる。
タイムライン形式で、各社の発表内容やトップの発言を紹介する。
豊田氏自らセンチュリーを紹介、次の100年つくる(午前9時30分)
最高級車「センチュリー」のコンセプト車は、会長の豊田章男氏が紹介した。名前の由来は「明治100年とも、トヨタグループ創始者豊田佐吉の生誕100年ともいわれるが、私は次の100年をつくるという意味に受け止めている」と説明。トヨタのブランドにとどまらず、「日本の心、ジャパンプライドを世界に発信していく、そんなブランドに育てていきたいと思っている」と強調した。

初代モデルが1967年に発売されたセンチュリーは公用車や社用車として広く使われており、トヨタは今月、レクサスやスポーツカーの「GR」のように独立したブランドとして展開する方針を明らかにした。センチュリーは初代から続くセダンタイプに加え2023年にスポーツ用多目的車(SUV)タイプが追加されており、今回クーペタイプなど3つのコンセプトカーを発表した。
「カローラ」、レクサス「LS」のコンセプト車を発表(午前9時)
トヨタは、乗用車「カローラ」、高級車「レクサス」のフラッグシップである「LS」などのコンセプト車も発表した。

トヨタの佐藤恒治社長は、多様なパワートレインを提供する「マルチパスウェイ」戦略を改めて強調した。カローラのコンセプト車を紹介しながら、バッテリーEV、ハイブリッド車、エンジン車でも「動力がなんであれ、みんなが乗りたくなるかっこいい車にしようという発明」が詰まっていると説明した。
「ラグジュアリー(L)セダン(S)」の頭文字を意味していたレクサスのLSを「ラグジュアリースペース」と新たに解釈し、6輪3列シートのミニバンにした。後輪4輪を小径化することで2、3列目のスペースを拡大し、乗降時の移動を容易にした。

トヨタでチーフ・ブランディング・オフィサーを務めるサイモン・ハンフリーズ執行役員は「1989年の初代LSの登場からラグジュアリーマーケットは劇的に変わった」と指摘。かつてはエグゼクティブセダンが中心だったが、今やセダンはSUVに押され、人々はこれまでとは異なる体験を求めているという。
BYDが軽自動車EVを発表へ、26年夏に導入予定(午前8時半)
中国のBYDは同社初の海外専用設計モデル、軽自動車EV「BYD RACCO(ラッコ)」のプロトタイプをJMSで発表すると明らかにした。2026年夏に導入予定だという。
米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、伝統的な自動車メーカーが新型車の構想から発売まで40-50カ月以上を要するのに対し、中国のEVメーカーは約24カ月で実現している。BYDも軽EVの開発を24年9月に始めたとされており、予定通りに市場導入できればリードタイムは2年程度となる。
過去数年間で急成長を遂げたBYDは24年に176万台のEVを販売し、同179万台だった米テスラに肉薄している。ただ、ハイブリッド車や軽自動車が人気の日本市場では1-9月の乗用車販売台数は2899台にとどまるなど苦戦しており、軽EVの導入で打開できるかが注目される。
ホンダ、EVのゲートウェイモデルを披露へ(午前8時)
ホンダはEV「0(ゼロ)シリーズ」の新たなSUVモデルとして、「Honda 0 α(アルファ)」のプロトタイプを初披露する。これまで発表した同シリーズの2モデルよりも安価とし、EVを初めて購入する層など向けのゲートウェイモデルとして位置付ける。インドで生産する同モデルは、27年から日本やインドを中心にグローバルで販売を予定しているという。
さらに小型EV「Super-ONE Prototype」も公開される見通しだ。26年から日本を皮切りに、アジア各国や英国などで発売する計画。ホンダの記者会見は午前11時15分開始を予定する。
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